これでOKワークショップ

あなたの価値は「成果」だけじゃない。「これでOK」と自分を認めるワーク

Tags: 完璧主義, 成果主義, 自己肯定感, 自分を労わる, 思考ワーク

「完璧な成果」を求めすぎて疲れていませんか

日々の仕事、家事、育児、本当にお疲れ様です。 限られた時間の中で、あれもこれもと完璧にこなそうと奮闘されている方もいらっしゃるかもしれません。 特に、何かを「達成した」「やり遂げた」という成果によって、自分の価値や能力を測ってしまう傾向はありませんか。

完璧主義の方の中には、「完璧な成果が出せないと、自分には価値がないのではないか」と感じてしまい、必要以上に自分を追い詰めてしまうことがあります。 目標を達成できなかった時、計画通りに進まなかった時、小さなミスをしてしまった時などに、強い自己嫌悪に陥り、「自分はダメだ」と責めてしまう。 周りの成功している人やSNSで見る理想的な生活と比べて、「自分はまだまだ」と感じ、焦りや不安を感じることもあるかもしれません。

ですが、あなたの価値は、仕事で上げた成果や、家事を完璧にこなしたかどうか、子どもが〇〇できるようになった、といった外に見える「成果」だけで決まるものではありません。 今回は、「成果」に囚われがちな完璧主義を手放し、頑張りの「プロセス」や、あなたが「存在していること」そのものに価値を見出すための具体的なワークをご紹介します。

なぜ「成果主義」が完璧主義を苦しめるのか

完璧主義は、「完璧な状態を目指す」という思考や行動のパターンです。 これが「成果主義」と結びつくと、「完璧な成果を出さなければ意味がない」「完璧な成果が出せなければ自分は認められない」という考え方になりやすいのです。

特に、現代社会は成果を重視する傾向が強く、SNSなどでも成功や輝かしい成果が注目されがちです。 こうした情報に触れることで、「自分も常に最高の成果を出し続けなければ」というプレッシャーを感じ、疲弊してしまうことがあります。

しかし、人生において、常に完璧な成果を出し続けることは現実的ではありません。 予期せぬ出来事、体調、環境の変化など、コントロールできない多くの要因があります。 完璧な成果が出せない自分を責め続けることは、心のエネルギーを奪い、本来の力を発揮することを妨げてしまいます。 あなたの価値は、目に見える成果の多寡ではなく、もっと多角的で、内面的な部分にも宿っているのです。

あなたの価値は「成果」だけじゃない。「これでOK」と自分を認めるワーク

ここでは、「成果」に囚われず、自分自身の価値を認め、「これでOK」と思えるようになるための具体的なワークを3つご紹介します。 どれも日常生活の中で無理なく試せる、小さな一歩となるような内容です。

ワーク1: 「成果」と「プロセス」の分離ノート

タスクやToDoリストを終えた後に、簡単な振り返りを行うワークです。 手帳やノート、スマートフォンのメモ機能など、使いやすいものを用意してください。

  1. 今日の「成果」を書き出す: 今日達成できたこと、完了したタスク、目に見える成果を具体的に書き出します。(例: 資料作成完了、夕食の準備、子どもの歯磨き完了)
  2. 今日の「プロセス」を書き出す: その成果を達成するために、あるいは日中を通して、自分が「頑張ったこと」「工夫したこと」「乗り越えたこと」「学んだこと」「感じたこと」など、目には見えにくい「プロセス」に焦点を当てて書き出します。(例: 資料作成で〇〇が難しかったけれど、△△と調べて解決策を見つけた。夕食準備で疲れていたけれど、簡単な方法を選んで乗り切った。子どもが歯磨きを嫌がったけれど、根気強く声かけをした。思っていたより時間がかかったが、最後までやり遂げた。)
  3. 「プロセス」に「OK」のサインをつける: 書き出したプロセスのそれぞれの項目に対し、「これも私の頑張り」「この工夫は良かった」「この経験から学んだ」といった肯定的な視点で、「これでOK」「よくやった」といった心のサインを送るイメージで、印やコメントをつけます。

このワークの目的は、「成果」が小さかったり完璧でなかったとしても、それまでの「プロセス」の中に、あなたの価値や頑張りを見出す練習をすることです。 たとえ結果が伴わなくても、あなたが考え、行動し、感じたこと自体が尊い経験であり、価値があることを体感していきます。 夜寝る前や休憩時間など、短い時間で試してみてください。

ワーク2: 「〇〇だから価値がある」を「いるだけで価値がある」へ

自分の価値は「成果」や「能力」といった条件付きのものではなく、「存在していること」自体にある、という感覚を育むための思考ワークです。

  1. 「条件付きの価値リスト」を考える: これまで自分が「〇〇ができるから、自分には価値がある」「△△を達成したから、認められる」と感じていた「条件」をいくつか考えてみましょう。(例: 仕事で評価されるから、家事を完璧にこなすから、いつも笑顔でいるから、子どもが言うことを聞くから)
  2. 「条件のない価値」を考える: 次に、上記の条件を一度脇に置き、あなたが「存在していること」そのものに宿る価値について考えてみます。難しければ、以下の質問をヒントにしてみてください。
    • もし成果がゼロでも、あなたはあなたでいるだけで、大切な誰かにとってどんな存在ですか?
    • あなたが幼い頃、まだ何も特別な成果を出していなかった頃、周りの人はあなたにどんな価値を見出していましたか?
    • 完璧にできないあなたを、誰か大切な人は否定するでしょうか?(多くの場合は「それでもあなたが好きだ」と感じるはずです)
    • あなたが好きな友人や家族について考えてみてください。その人の価値は、その人の「成果」だけで決まりますか? それとも、一緒にいる時間、その人の優しさ、考え方、存在そのものに価値を感じませんか? その視点を自分にも向けてみましょう。
  3. 「いるだけでOKリスト」を作成する: 成果や能力に関係なく、「自分はこれでOKだ」と思える、あなたの内面的な資質や、周りとの関係性などをリストアップします。(例: 私はそこにいるだけで子どもにとって安心できる存在だ、私は話を聞くのが好きだ、私はおいしいと感じる心を持っている、私は太陽の光を気持ち良いと感じられる、私は大切な友人たちがいる)

このワークは、自分の価値を外的な成果や他者の評価に依存させるのではなく、内面や存在そのものに価値を見出す視点を養います。 完璧なリストを作る必要はありません。一つでも二つでも、「成果がなくても、自分はこれで大丈夫かもしれない」と感じられるものを見つけることが大切です。

ワーク3: 小さな「無目的時間」を作る

これは行動習慣のワークです。一日のうち、ほんの数分でも良いので、「何かを達成するため」「生産性を上げるため」といった目的から完全に解放された時間を作ります。

例: * 窓の外をぼーっと眺める(5分) * 好きな音楽を、何かをしながらではなく、ただ座って聴く(10分) * 温かい飲み物をゆっくりと味わう(3分) * 近所を目的なく、ただ歩いてみる(15分) * ただ目を閉じて、呼吸に意識を向ける(3分)

この時間のポイントは、「リフレッシュして次に頑張るため」といった二次的な目的も持たないことです。 ただ、その瞬間に自分が「存在している」ことを許し、感じる時間です。 最初は「こんなことしてて良いのかな」と罪悪感を感じるかもしれません。 しかし、この「無目的でも大丈夫」「何も生み出していなくても自分は存在する」という体感が、「成果がなくても自分の価値は揺るがない」という感覚に繋がっていきます。 忙しい毎日だからこそ、意識してこのような「余白」の時間を作ることをお勧めします。

実践する上でのヒント

これらのワークを始めるにあたって、完璧にこなそうと思わないことが最も重要です。 完璧主義を手放すためのワークなのですから、ワーク自体も完璧を目指す必要はありません。

成果主義を手放して、心穏やかな「これでOK」へ

完璧な成果を追い求めることは、時に大きなプレッシャーとなり、私たちから心の平穏を奪います。 しかし、あなたの価値は、目に見える成果だけでなく、あなたが日々行っている目立たない努力、困難に対する向き合い方、他者への思いやり、そして何よりも「あなたという存在」そのものの中に豊かに存在しています。

成果主義を手放し、自分の「プロセス」や「存在」にも目を向けることで、心がずっと軽やかになり、自己肯定感が高まっていくのを感じられるはずです。 完璧な成果が出せなくても、「これでOK」と自分を認められるようになることは、決して「諦める」ことや「手抜き」をすることではありません。 それは、ありのままの自分を受け入れ、無理のない範囲で最大の力を発揮するための、賢明で優しい選択です。

今日から、少しずつで良いので、あなたの価値は「成果」だけではない、という視点を日常に取り入れてみてください。 あなた自身の頑張りや存在に、「これでOK」のサインを贈る練習を重ねることで、心穏やかな毎日へと繋がっていくことでしょう。