自分を責める癖を手放す。日常に「小さなOK」を見つける3つのワーク
完璧を目指して頑張るあなたは、きっと毎日たくさんのことをこなされていることと思います。仕事、家事、育児。どれも手を抜かずに一生懸命取り組んでいらっしゃることでしょう。
でも、ふとした瞬間に「これもできていない」「あれも中途半端だ」と、つい自分にダメ出しをしてしまうことはありませんか。完璧でない自分を責めてしまい、疲れてしまう。そんな経験があるかもしれません。
私たちは、目標を高く設定し、そこに至らなかった部分にばかり目が向きやすい傾向があります。特に完璧主義の傾向が強い方は、「できていないこと」や「失敗」に強くフォーカスしてしまい、「できていること」や「良かったこと」を見過ごしてしまうことがあります。これは、まるで自分自身に常に減点方式で採点しているようなものです。
しかし、この「悪いこと探し」の思考パターンが、知らず知らずのうちにあなたの心を疲れさせ、自己肯定感を下げてしまうことがあります。
もし、少しでも心が楽になり、自分自身に優しくなれたら。毎日の中に「これでOK」と感じられる瞬間が増えたら。そんな変化を望むのであれば、意識的に「良いこと」や「小さなOK」に目を向ける練習を始めてみませんか。
ここでは、完璧主義からくる自分へのダメ出しを手放し、日常の中に隠れた「小さなOK」を見つけるための具体的なワークを3つご紹介します。どれも、忙しい毎日の中でも無理なく試せる、小さな一歩となるものばかりです。
ワーク1:1日の終わりに「今日のOK」を見つける習慣
今日1日を振り返る時間、あなたは何に焦点を当てていますか。「あれをやり忘れた」「これもできなかった」と、反省点ばかりが頭に浮かんでしまうかもしれません。このワークでは、その焦点を少し変えて、「今日のOK」を見つける練習をします。
「今日のOK」とは、完璧にできたことだけを指すのではありません。「まあまあできたこと」「大変だったけど、少しでも前に進めたこと」「頑張ったなと思えること」「小さな良かったこと」など、ハードルを極限まで下げた「OK」のことです。
実践のポイント:
- 時間を決める: 寝る前や、家事が一段落した休憩時間など、毎日同じくらいの時間に短時間(3〜5分程度)行います。
- 最低1つ見つける: 最初は1つで構いません。「朝起きられた」「ご飯を食べられた」「家族と会話できた」など、当たり前と思えることでもOKです。
- 書き出してみる: スマートフォンのメモ帳、ノート、カレンダーなど、どこかに書き出してみるのがおすすめです。視覚化することで、「案外たくさんOKがあるな」と気づきやすくなります。
- ハードルを下げる: 例えば「完璧な夕食を作れなかった」と思ったなら、「でも、材料は買いに行けた」「家族は文句を言わずに食べてくれた」「片付けを少しだけできた」など、別の側面や「できたこと」に目を向けます。
- 完璧を目指さない: 毎日見つけられなくても大丈夫です。見つけられなかった日も、「今日は見つけられなかったけど、そんな日もある」と自分を許すことが大切です。
このワークを続けることで、1日の終わりにネガティブな反省に囚われず、「まあ、今日もおおむねOKだったな」と穏やかな気持ちで1日を終えられるようになります。
ワーク2:ネガティブ思考を「OK変換」する練習
何か失敗したり、うまくいかなかったりすると、「どうして自分はこうなんだろう」と、つい自分を責める考えが浮かんできませんか。このワークは、そんなネガティブな思考が浮かんできたときに、それを別の視点から見て「OK」な側面を見つける練習です。
これは、ネガティブな感情を無視したり、無理にポジティブに考えようとするものではありません。起きた出来事や自分自身の行動の、別の側面や隠れた頑張りに光を当てる練習です。
実践のポイント:
- 思考に気づく: 「また失敗した」「自分はダメだ」といったネガティブな思考が浮かんできたら、「あ、今、自分を責めているな」と、まずはその思考に気づきます。
- 別の側面を探す: その出来事や自分自身について、「でも、これはどうだったかな?」「他に何かできたことはないかな?」と、意識的に別の側面を探します。
- 例:「今日のプレゼン、緊張してうまく話せなかった」 →「でも、資料はしっかり作り込んだ」「最後まで諦めずにやりきった」「次に向けて改善点が見つかった」
- 例:「子どもの対応で、つい感情的になってしまった」 →「でも、すぐに謝ることができた」「疲れていたんだなと自分の状態に気づけた」「次からはこうしようと考えられた」
- 「OK」な理由を見つける: 探した別の側面の中に、「これならOKかな」「これは頑張ったな」と思える点を見つけます。完璧な解決策や結果でなくて構いません。その過程や、そこから学んだこと、自分の努力などに目を向けます。
- 無理にポジティブにならない: 事実を歪めて無理に「全て良かった」と思う必要はありません。ネガティブな感情を感じる自分もOKとしながら、視点を広げる練習です。
このワークは、思考の癖に気づき、パターンを変えていくための地道な練習です。すぐにうまくできなくても、意識することから変化は始まります。
ワーク3:日常に潜む「小さなラッキー」や「ありがとう」を見つける
完璧主義の人は、目標達成や問題解決に意識が向きがちで、日常に潜む小さな喜びや感謝を見過ごしてしまうことがあります。このワークでは、自分自身だけでなく、周囲や日常の中に隠れた「小さなOK」や「良かったこと」に意識的に目を向ける練習をします。
これは、自分だけでなく、周囲の頑張りや、当たり前だと思っている日常の中にある「ありがたさ」に気づくことでもあります。
実践のポイント:
- 意識的に探す: 通勤途中、仕事中、家事の合間、育児中など、日常のあらゆる場面で「何か良いことはないかな?」「何か感謝できることはないかな?」と意識的に探してみます。
- ハードルを極限まで下げる:
- 「電車が遅延しなかった」
- 「職場で同僚が助けてくれた」
- 「子どもが自分で靴下を履こうとした」
- 「ポストに嬉しいお知らせが入っていた」
- 「美味しいコーヒーを飲めた」
- 「天気が良かった」
- 「きれいな花を見かけた」 など、本当に些細なことで構いません。
- 記録してみる: 可能であれば、ワーク1のように書き出す習慣にすると、より効果を感じやすくなります。「小さなラッキー集」や「ありがとうノート」のような感覚で記録してみましょう。
- 感謝の気持ちを伝える: 見つけた「小さなOK」が人に関することであれば、心の中で「ありがとう」と思ったり、実際に言葉にして伝えたりするのも良いでしょう。
このワークは、視野を広げ、日常の中に潜むポジティブな側面に気づくためのものです。自分や周囲への「ダメ出し」から少し距離を置き、感謝や小さな喜びに目を向けることで、心が満たされる感覚を得られるかもしれません。
実践を続けるためのヒント
これらのワークは、どれもシンプルですが、続けることが大切です。しかし、忙しい毎日の中で「完璧にやらなきゃ」と思うと、かえって負担になってしまいます。
- 完璧を目指さない: 「毎日やろう」ではなく「できそうなときにやってみよう」くらいの気持ちで始めましょう。
- 小さく始める: 最初は1つだけ見つける、書き出すのはやめるなど、ハードルを下げて無理なく続けられる方法を見つけます。
- 義務にしない: 「やらないといけない」と思うと辛くなります。気が向いたときに、ゲーム感覚で試してみるくらいで十分です。
- 自分を許す: もし続けられなかった日があっても、「そんな日もあるよね」と自分を責めないでください。また明日から、気が向いたときに再開すれば大丈夫です。
まとめ
完璧主義からくる「自分へのダメ出し」を手放し、日常の中に「小さなOK」を見つける練習は、自分自身を労り、受け入れるための大切なステップです。最初は難しく感じるかもしれませんが、意識して続けることで、少しずつ思考パターンは変化していきます。
「完璧でなくていい。今日の自分もこれでOK」
そう思える瞬間が、きっと増えていきます。自分自身の頑張りや、日常のささやかな幸せに目を向けることで、心穏やかな毎日を過ごすためのヒントを見つけていただけたら嬉しいです。
自分に優しく、自分を労わる時間を持つことを、どうか忘れないでください。それが、完璧主義を手放し、あなた自身が心満たされる生き方を見つけるための、何より大切な一歩となるでしょう。