完璧にできなかった日も大丈夫。自分を責めずに「これでOK」にするワーク
完璧にできなかった日、自分を責めていませんか?
時間に追われる毎日の中で、仕事も家事も育児も、「もっとこうすべきだった」「あれもできなかった」と、一日を終えるたびにため息をついてしまうことはありませんか。思い描いていた理想通りに進まなかったとき、つい自分を責めてしまったり、「どうして私だけこんなにできないのだろう」と落ち込んでしまったり。
完璧を目指すからこそ、できなかったことばかりに目がいってしまい、疲れ果ててしまう。これは、完璧主義の傾向がある多くの方が経験することかもしれません。特に、周りの頑張っている様子やSNSで目にするキラキラした日常と比べてしまい、「私なんて」と自己嫌悪に陥りやすい状況もあるかと思います。
でも、完璧にできなかった日があっても、それは決してあなたの価値が低いということではありません。忙しい日々の中で、頑張っている自分に気づかず、責める言葉ばかりを投げかけてしまうのは、とても辛いことです。
このサイトでは、完璧主義を手放し、心穏やかに日常を送るためのヒントやワークをご紹介しています。今回は、完璧にできなかったと感じる日でも、自分を責めずに「これでOK」と受け入れ、心軽やかに次に進むための具体的なワークをご紹介します。
なぜ「完璧にできなかった日」は辛いのか
完璧主義の思考パターンは、「できたこと」よりも「できなかったこと」に焦点を当てがちです。「〇〇すべきだった」「△△でなければならない」という自分の中の厳しい基準や、他人からの評価を気にしすぎることが、不達成感や自己否定に繋がります。
また、日々のタスクをこなすことが当たり前になりすぎて、小さな成功や頑張りを見過ごしてしまうこともあります。その結果、「今日は全然ダメだった」という印象だけが残り、自己肯定感が下がってしまうのです。
完璧にできなかった日を「これでOK」にするワーク
ここでは、日常の小さな「失敗」や「不達成」があっても、自分を責めずに受け入れるための具体的なワークを3つご紹介します。どれも忙しい日常の中で、無理なく試せるものです。
ワーク1:今日の「できたこと」と「あえてやらなかったこと」を見つけるワーク
一日を終える前に、数分だけ時間を取って、今日の出来事を振り返ってみましょう。
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今日の「できたこと」を3つ書き出してみる:
- 完璧にできたことだけでなく、「ちょっとできたかな」「これだけはできた」という小さなことで構いません。
- 例:朝食の準備ができた、子どもを保育園に送れた、仕事のメールを返信した、洗濯物をたたんだ、自分用のコーヒーを淹れた、5分だけ休憩できた。
- どんなに些細なことでも大丈夫です。
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今日の「あえてやらなかったこと」を1つか2つ書き出してみる:
- 時間や体力、気持ちの余裕がなく、意図的に「今日はやらない」と決めたことです。
- 例:夕食は惣菜に頼った、子どもの寝かしつけの前に片付けを諦めた、溜まっているアイロンがけを見送った、残業せずに帰った。
- これは、自分自身を大切にするために下した「選択」であると捉えましょう。
なぜこのワークが有効なのか: 私たちは無意識のうちに「できなかったことリスト」を作ってしまいがちです。このワークは、意識的に「できたこと」に焦点を当てることで、自分の一日の頑張りを認め、肯定的に捉える練習になります。「あえてやらなかったこと」を認識することで、自分を労わるために必要な休息や手抜き(良い意味での)を選択したことを肯定的に受け入れられます。これにより、不達成感よりも達成感や自己肯定感を高めることができます。
ワーク2:「もし〇〇になったら、△△をする」プランニング(if-thenプランニング)
これは、心理学の研究でも効果が示されている行動計画の方法です。「もし〇〇という状況になったら、△△という行動をする」とあらかじめ決めておくことで、予期せぬ事態や計画通りに進まなかったときでも、スムーズに対応しやすくなります。
完璧主義の方は、計画通りに進まないとパニックになったり、自分を責めたりしがちです。このプランニングは、そうした状況への心の準備と具体的な行動の指針を与えてくれます。
- 具体的なやり方:
- 日常で起こりうる「もし」の状況を想定します。(例:もし、子どもが急に熱を出したら…)
- その「もし」の状況になったら、「△△をする」という具体的な行動を決めます。(例:…夫(パートナー)に連絡して、今日の夕食準備はお願いする)
- 家事、育児、仕事など、それぞれの場面でいくつか想定してみましょう。
- 「もし、仕事の締め切り直前に急な頼まれごとが入ったら、△△(例:優先順位を見直して、難しい場合は期日を相談する)をする。」
- 「もし、疲れて夕食を作る気力がない時は、△△(例:迷わず冷凍食品やテイクアウトを利用する)をする。」
- 「もし、子どもが言うことを聞かずにイライラしそうになったら、△△(例:深呼吸を3回する、一度その場を離れる)をする。」
なぜこのワークが有効なのか: 事前に代替案や対処法を考えておくことで、いざという時に慌てずに行動できます。「完璧な計画」に固執するのではなく、「どんな状況でも対処できる柔軟性」を身につける練習になります。計画通りにいかなかった自分を責めるのではなく、「対処できた自分」を肯定できるようになります。
ワーク3:自分への「優しい声かけ」ワーク
完璧にできなかったと感じるとき、私たちは自分自身に厳しい言葉を投げかけがちです。「どうしてこんなこともできないの」「ちゃんとやらないとダメだ」といった内なる批判の声に気づいてみましょう。
このワークは、そうした批判の声に対して、友人や大切な人にかけるような優しい言葉を自分自身にかけてあげる練習です。これを「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」と呼びます。
- 具体的なやり方:
- 完璧にできなかったと感じた出来事を具体的に思い出します。(例:今日の会議でうまく発言できなかった、子どもの宿題を見るのを忘れた)
- その時の自分の気持ちを言葉にしてみます。(例:恥ずかしかった、情けなかった、自己嫌悪を感じた)
- もし、同じように悩んでいる友人がいたら、どんな言葉をかけますか?(例:「大丈夫だよ、そういう日もあるよ」「忙しいんだから仕方ないよ」「次に活かせばいいよ」)
- その言葉を、今、悩んでいる自分自身にかけてあげましょう。心の中で唱えても良いですし、紙に書き出してみるのも良いでしょう。
- 自分を優しく抱きしめる、手に胸を当てるなど、体を使って自分を労わるジェスチャーを加えても効果的です。
なぜこのワークが有効なのか: 自己批判は、完璧主義の大きな要因の一つです。自分への優しい声かけは、その批判の声を和らげ、自己否定感を減らす効果があります。「自分は完璧でなくても価値がある存在だ」と感じられるようになり、失敗から立ち直る力(レジリエンス)が高まります。日常の中で意識的に行うことで、自然と自分に優しくなれるようになります。
実践する上でのヒントと継続のために
これらのワークは、最初から完璧にこなそうとする必要はありません。
- 小さな一歩から: まずはワーク1の「できたこと」を3つ書き出すことから始めてみるなど、取り組みやすそうなものから試してみてください。
- 完璧を目指さない: このワーク自体を「完璧にやらなければ」と思わないことが大切です。毎日できなくても、気がついた時に行うだけでも効果があります。
- 無理なく続ける工夫: ノートの代わりにスマホのリマインダーやメモアプリを使ったり、家族に「今日の良かったこと言ってみようか」と話しかけてみたり、自分が続けやすい方法を見つけてみましょう。
- 自分を褒める: ワークを実践できた自分自身を褒めてあげましょう。「今日はワークをやってみたね、えらいね」と、自分への優しい声かけを実践するチャンスです。
「完璧にできなかった日」を「これでOK」とすること
完璧にできなかった日も、自分を責めずに「これでOK」と受け入れる練習は、心穏やかに過ごすために非常に大切です。それは決して「諦める」ことではなく、「等身大の自分」を認め、労わること。そして、無理のない範囲で次に繋げるためのエネルギーを温存することです。
日々の小さな「できたこと」に目を向け、予期せぬ状況への心の準備をし、自分自身に優しい言葉をかけること。これらのワークは、完璧主義を手放し、自己肯定感を育みながら、忙しい毎日を送るあなたの心を軽やかにしてくれるはずです。
あなたは、完璧でなくても素晴らしい存在です。今日のあなたも、本当によく頑張っています。「これでOK」と自分に優しく語りかけ、心穏やかな時間を持てるよう、今日から少しずつ試してみてください。応援しています。