「もっと頑張れるはず」の呪縛から解放される。「これでOK」で自分を認め、心穏やかになるワーク
完璧主義なあなたは、もしかしたら常に心の中で「もっと頑張れるはず」という声を聞いているかもしれません。仕事で目標を達成しても、家事を完璧にこなしても、育児に全力を尽くしても、「まだ足りない」「もっとできるはず」と自分にダメ出しをしてしまう。
この「もっと頑張れるはず」という内なる声は、あなたを奮い立たせる原動力になることもありますが、同時に大きな負担となり、心身を疲弊させてしまいます。常に自分を否定し、評価基準を上げ続けることで、努力しても満足感が得られず、自己肯定感は低迷しやすくなります。
この記事では、この「もっと頑張れるはず」という呪縛から解放され、今の自分を「これでOK」と認め、心穏やかに日々を送るための具体的なワークをご紹介します。
なぜ「もっと頑張れるはず」と感じてしまうのか
私たちは、これまでの経験や、周囲の期待、SNSなどで目にする「理想像」の影響を受けて、「〇〇であるべき」「もっと△△できるはず」という自分像を作り上げてしまいます。特に、仕事や家事、育児といった複数の役割を同時にこなしていると、それぞれの場面で「完璧」を目指そうとし、「どれもこれも中途半端だ」「もっと効率よくできるはず」と、自分自身に高いハードルを課しがちです。
この内なる声は、多くの場合、過去の成功体験や、他者からの評価を維持したいという気持ちから生まれます。しかし、限界を超えて常に「もっと」を追求することは、燃え尽きや、慢性的な疲労、自己否定感の増加に繋がります。
ここで大切なのは、「もっと頑張る」を手放すことが、「怠ける」ことや「諦める」ことではないと理解することです。それは、自分自身の心と体の声を聞き、無理のない範囲で力を発揮し、持続可能な形で日々を送るための選択です。
「もっと頑張れるはず」の呪縛を手放すためのワーク
「もっと頑張れるはず」という思考パターンに気づき、そこから少しずつ距離を置くための具体的なワークを3つご紹介します。日常生活の中で、無理なく試せる小さな一歩から始めてみましょう。
ワーク1:内なる「もっと」の声に気づく記録ワーク
「もっと頑張れるはず」「まだ足りない」といった思考が頭に浮かんだ瞬間に気づくためのワークです。
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方法:
- 小さなノートやスマートフォンのメモアプリを用意します。
- 「もっと頑張れるはず」「まだ足りない」という考えが頭に浮かんだら、その時の状況、具体的な考えたこと、そしてその時に感じた感情(例:焦り、不安、罪悪感、自己嫌悪)を簡単に記録します。
- 完璧に書く必要はありません。「もっと早く終わらせるべきだった」「あの子はちゃんとできているのに、私は…」など、心に浮かんだ言葉をそのまま書き出してみましょう。
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効果: 自分の思考パターンを客観視できるようになります。「あ、またこの考え方が出てきたな」と気づくことで、その思考に振り回されず、一歩引いて状況を見られるようになります。どのような状況で、どのような「もっと」の声が聞こえてくるのか、パターンを把握することができます。
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実践のポイント: 忙しい合間にサッとメモできるように、手軽なツールを選びましょう。完璧に毎日記録する必要はありません。気づいた時に、できる範囲で取り組むことが大切です。
ワーク2:「十分頑張っている自分」を「これでOK」と認めるワーク
常に足りない点ばかりに目を向けてしまう癖を、「できたこと」「頑張ったこと」に目を向ける習慣に変えるワークです。
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方法:
- 一日の終わりに、今日自分が「できたこと」「頑張ったこと」を最低3つ書き出してみましょう。
- 「当たり前」と思っていること、誰にも褒められないような小さなことも含めます。例えば、「朝ちゃんと起きた」「ご飯を作った」「子どもを保育園に送った」「仕事のメールを1通返信した」「洗濯物を畳んだ」「休憩時間に水を飲んだ」など、本当に些細なことで構いません。
- もし、「もっと頑張れるはずだった」と感じた出来事があったとしても、その中で「これだけはできた」という点に注目してリストアップしてみましょう。
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効果: 自分自身の努力や行動を正当に評価する練習になります。完璧ではなくても、日々たくさんのことを成し遂げている自分に気づき、「これでOK」と認めることができるようになります。自己肯定感を育む大切な習慣です。
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実践のポイント: 毎日寝る前など、時間を決めて習慣化すると取り組みやすいです。最初は「何もできていない」と感じるかもしれませんが、視点を変えて「当たり前」の行動もリストアップしていくと、意外とたくさんの「できたこと」があることに気づくはずです。
ワーク3:「厳しい自分」と「優しい自分」の対話ワーク(セルフ・コンパッション応用)
自分を追い詰める厳しい内なる声に対し、自分自身に優しさと理解をもって接する練習です。
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方法:
- ワーク1で記録した「もっと頑張れるはず」という思考や、それに伴う辛い感情(焦り、不安、罪悪感など)を心の中で反芻してみます。
- 次に、その辛い感情を抱えている自分に対し、まるで親しい友人や大切な人が同じ状況で苦しんでいるかのように、優しく語りかけてみましょう。
- 「大丈夫だよ」「本当に良く頑張っているね」「疲れたよね、少し休んでもいいんだよ」「完璧じゃなくても十分素晴らしいよ」「一人で抱え込まなくていいんだよ」といった、温かい、励ますような、労わるような言葉を自分自身に向けて送ります。心の中で、または声に出して行っても構いません。
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効果: 自分自身への厳しさを和らげ、自己否定のループから抜け出す助けになります。辛い感情を否定したり蓋をしたりするのではなく、受け入れ、自分に寄り添うことで、心が穏やかになります。これは「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」と呼ばれる考え方に基づいています。
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実践のポイント: 最初は抵抗があるかもしれませんが、練習するうちに自然とできるようになります。鏡を見ながら自分に語りかけるのも効果的です。完璧な言葉を探す必要はありません。あなたの心からの、温かい言葉を届けましょう。
ワークを続ける上でのヒント
これらのワークは、劇的な変化をすぐに保証するものではありません。完璧主義を手放す道のりは、一歩ずつ、そして時には後戻りしながら進むものです。
- 完璧にこなそうとしないこと: ワーク自体を完璧にやろうとせず、「今日はこれだけできた」「少しでも思い出してやってみた」と、その取り組み自体を「これでOK」と認めましょう。
- 自分を責めない: ワークを忘れてしまった日があっても、自分を責める必要はありません。「明日またやってみよう」と気軽に捉えましょう。
- 小さな変化に気づく: 大きな変化だけでなく、「少し心が軽くなったな」「前ほど自分を責めなくなったな」といった小さな変化に意識を向けてみましょう。
- 休息もワークの一部: 疲れている時は無理せず休みましょう。休むことは「サボり」ではなく、心身を回復させるために必要な「ワーク」です。
「もっと頑張る」を手放し、「これでOK」と自分を認める
「もっと頑張れるはず」という呪縛を手放すことは、自分自身の価値を否定することではありません。むしろ、ありのままの自分を認め、その上で無理なく、心豊かに生きていくための、自分自身への深い肯定なのです。
あなたは、今のままでも十分に頑張っています。完璧でなくても、時に失敗しても、計画通りに進まなくても、あなたは価値ある存在です。
自分に優しく、「これでOK」と認めてあげること。それは、忙しい日常の中で、心穏やかさを取り戻し、本当に大切なものにエネルギーを注ぐための第一歩です。今日から、少しずつ、その一歩を踏み出してみませんか。