「理想の私」に疲れたら。心穏やかに「これでOK」を見つける自分基準ワーク
仕事、家事、育児と、毎日を駆け抜ける中で、「もっとちゃんとやらなくちゃ」「周りの人はもっとできているのに」と感じていませんか。SNSでキラキラした投稿を見たり、テレビで「理想の〇〇」といった特集を目にしたりすると、どうしても自分と比較してしまい、疲れてしまうことがあるかもしれません。
完璧主義な方ほど、外からの情報に敏感で、「こうあるべき」という理想の自分像を高く設定しがちです。そして、その理想と現実の自分とのギャップに苦しみ、自己嫌悪に陥ってしまうことも少なくありません。
しかし、その「理想」は本当にあなたが心から望んでいるものでしょうか。誰かの基準や、世間の「普通」に無意識のうちに縛られてはいないでしょうか。
外の基準を手放し、内なる声に耳を傾ける大切さ
完璧主義からくる疲弊や自己否定感は、多くの場合、自分以外の「外の基準」に過度に影響されていることから生じます。他人の評価、SNSの「いいね」の数、メディアが描く理想像、過去の成功体験、あるいは自分自身が内面化した「こうあるべき」という rigid な思考パターンなどです。
こうした外からの基準に沿おうと必死になるあまり、自分の本心や、その時々の状況に合った「これでOK」を見失ってしまうことがあります。自分の心身が疲れているサインに気づかず、無理を重ねてしまうことも。
心穏やかに毎日を過ごすためには、外の基準を一度横に置き、自分の内側にある声、つまり自分の価値観や、その瞬間の率直な気持ちに耳を傾けることが非常に大切です。自分だけの「これでOK」基準は、外ではなく、あなた自身の内側にしかないからです。
自分だけの「これでOK」を見つけるための具体的なワーク
ここでは、外の基準を手放し、自分の内なる声に気づくための具体的な思考ワークや行動習慣をご紹介します。どれも日常生活の中で無理なく取り入れられる、小さな一歩となるものです。
ワーク①:「私の価値観」を見つめ直すワーク
「ちゃんと」や「完璧」の基準が、本当に自分が大切にしたいことに繋がっているか問い直してみましょう。
- 方法: 静かな時間を見つけて、以下の問いについて考えてみたり、紙に書き出してみたりしてください。
- 仕事をする上で、あなたが本当に大切にしたいことは何ですか?(例: 貢献する、学ぶ、誰かの役に立つ、安定した生活を送る)
- 家庭生活で、一番心地よいと感じる雰囲気や状態は何ですか?(例: 家族みんなが笑顔、リラックスできる空間、助け合える関係)
- 子育てで、あなたが子どもに一番伝えていきたい、大切にしたいことは何ですか?(例: 自己肯定感、思いやり、健康、自立)
- 自分自身が、日々の中で「満たされている」「幸せだ」と感じる瞬間はどんな時ですか?
- 効果: 自分の内側にある「本当に大切にしたいこと(価値観)」が明確になります。これにより、外からの「こうあるべき」という基準が、自分の価値観と一致しているのか、それともズレているのかを客観的に見られるようになります。
- 実践ポイント: 完璧に答えを出そうとせず、思いついたキーワードやフレーズで構いません。家事の合間や通勤中など、短い時間でも試せます。書き出したものは見えるところに貼っておくと、意識しやすくなります。
ワーク②:「理想の私」と「今の私」を書き分けてみるワーク
無意識に追い求めている「理想の自分」の基準を具体的にし、それが今の自分に合っているかを見直すワークです。
- 方法: ノートや紙を半分に分け、片側に「理想の私(完璧な私)」はどんなことをしているか、具体的に書き出します。(例: 毎日栄養バランス満点の食事を作る、家中を常に整理整頓、仕事で常にトップの結果を出す、子どものどんな質問にも完璧に答える) もう片側に「今の私」が日々どんなことをしているか、または「理想の私」と比べて「できていない」と感じていることを率直に書き出します。 書き出したら、「理想の私」のリストを一つずつ見て、「これは本当に私の人生にとって、今、必要で心地よいことだろうか?」「これは誰かの基準ではないか?」と問い直してみてください。
- 効果: 自分がどんな「理想」に縛られているのかを具体的に把握できます。その理想が現実的か、自分にとって本当に大切かを見つめ直すことで、手放すべき理想や、ゆるめても良い基準に気づけます。
- 実践ポイント: 自分を責めるためのリストではありません。「理想」と「現実」を冷静に観察するためのワークです。リストはあくまで参考とし、自分にとって何が大切かというワーク①の結果と照らし合わせて考えると、より効果的です。
ワーク③:「小さなOK」に光を当てるワーク
完璧にできなかった点ばかりに目がいきがちな完璧主義の思考パターンを、「できていること」に焦点を当てることで変えていくワークです。
- 方法: 一日の終わりに、あるいは家事や仕事、育児の一区切りついた時に、「今日できたこと」「OKだったこと」を意識的に見つけて心の中で唱えるか、簡単なメモに残します。 ポイントは、「完璧にできたこと」だけでなく、「とりあえずできた」「前より少し進んだ」「大変だったけどやり遂げた」といった、ハードルの低い「OK」を見つけることです。(例: 朝起きられた、子どもにごはんを食べさせた、仕事のメールを1通返信した、洗い物を少しだけ片付けた、疲れたから休憩した)
- 効果: 「できていない」という減点方式の思考から、「できている」という加点方式の思考に切り替わります。自分を労う習慣がつき、自己肯定感を少しずつ育むことができます。
- 実践ポイント: 毎日続けるのが理想ですが、義務に感じないでください。忘れても気にしない。「あ、今見つけられた」と思った時にいつでもOKです。スマホのメモ機能や、小さな付箋に書いて見えるところに貼るのもおすすめです。
実践する上でのヒントと継続のために
これらのワークを試してみる際に、完璧主義の「すべて完璧にやらなくては」という思考が出てくるかもしれません。しかし、これらのワークも「これでOK」の精神で、できる範囲で試すことが最も重要です。
- すべてを一度にやろうとしない: まずは一つのワークから始めてみましょう。慣れてきたら他のワークも試す、という進め方で構いません。
- 「完璧にできなかった」と自分を責めない: ワークを忘れてしまったり、思うように考えがまとまらなかったりしても大丈夫です。「また今度やってみよう」と、自分に優しく声をかけてください。
- 効果はすぐに出なくても焦らない: 長年の思考パターンや習慣を変えるには時間がかかります。すぐに劇的な変化が感じられなくても、諦めずに続けることで、少しずつ自分の心の状態が変わっていくことに気づけるはずです。
自分基準で「これでOK」を見つけた先にあるもの
外の基準や理想像に縛られる完璧主義を手放し、自分の内なる声に耳を傾け、自分だけの「これでOK」基準を見つけられるようになると、心がぐっと軽くなるのを感じられるでしょう。
必要以上に自分を追い詰めることが減り、他人との比較に消耗するエネルギーを、本当に大切にしたいことや、自分自身を労わることに使えるようになります。不完璧な自分も受け入れ、「これでOK」と認められるようになることで、自己肯定感も自然と育まれていきます。
心穏やかに、自分らしいペースで日々を過ごすために、ぜひ今日から「自分基準のOK」を見つける練習を始めてみませんか。