「自分でないとダメ」を手放すワーク。抱え込みすぎず「これでOK」を見つける方法
なぜかいつも、自分で全部抱え込んでしまうあなたへ
仕事に家事に育児。毎日やることが山積みで、あっという間に一日が終わってしまいます。やらなければいけないことリストは増える一方で、なかなか減らない。そして、気づけば全部自分で抱え込んで、へとへとに疲れていませんか。
特に、完璧主義の傾向があると、「自分でやった方が早い」「他の人に任せると質が落ちる」「人に頼むのは申し訳ない」といった考えが浮かびやすく、ついつい一人で頑張りすぎてしまうことがあります。
すべてを完璧にこなそうとするその頑張りは、本当に素晴らしいものです。しかし、それがあなた自身の心や体をすり減らしているとしたら、少し立ち止まって考えてみるタイミングかもしれません。
完璧主義の傾向を持つ方が抱え込みすぎてしまう状態から抜け出し、心穏やかに日常を送るためには、「自分でないとダメ」という気持ちを手放し、上手に「これでOK」を見つけることが大切です。
ここでは、抱え込みすぎる自分から少しずつ解放されるための具体的なワークと、その考え方をご紹介します。無理なく、あなたのペースで試してみてください。
「自分でないとダメ」は、完璧主義からのサイン
なぜ私たちは、目の前のタスクを一人で抱え込んでしまうのでしょうか。完璧主義との関連で考えると、いくつかの理由が考えられます。
- 「自分でやった方が確実」という思い込み: 人に任せると自分の基準通りにならないのではないか、という不安から、つい自分でやってしまいます。
- 「迷惑をかけたくない」「評価を下げたくない」という気持ち: 人に頼むことで、自分の能力が低いと思われるのではないか、頼まれた相手に負担をかけてしまうのではないか、と心配になります。
- 「完璧にこなさなければ」というプレッシャー: 誰かに任せて結果が不完全だった場合、それは「失敗」だと感じてしまうため、最初から最後まで自分でコントロールしようとします。
これらの考えは、あなたの責任感の強さや真面目さから生まれるものです。しかし、同時にあなたを「一人で頑張らなければ」という状況に追い込み、抱え込みすぎによる疲弊や自己嫌悪につながることもあります。
この「自分でないとダメ」というサインに気づくことが、抱え込みを手放すための一歩となります。
抱え込みを手放すためのワーク
ここからは、実際に抱え込みすぎから抜け出すための具体的なワークをご紹介します。
ワーク1:あなたの「抱え込みリスト」を可視化する
まず、あなたが日頃「つい自分で全部やってしまうな」「誰かに任せられたら楽なのに」と感じていることを書き出してみましょう。
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ステップ1:リストアップ 仕事、家事、育児など、あなたが抱え込んでいるタスクをできるだけ具体的に書き出してください。「夕食の準備」「子供の保育園準備」「書類の整理」「〇〇さんへの連絡」など、大小問いません。
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ステップ2:抱え込む理由を考える リストアップしたそれぞれのタスクについて、「なぜ自分で抱え込んでいるのだろう?」とその理由を書き添えてみてください。 例:
- 夕食の準備 → 夫に頼むと時間がかかる・手順を説明するのが面倒
- 子供の保育園準備 → 持ち物の細かい指定が多い・自分でやった方が忘れ物がない
- 書類の整理 → どこに何を置くか自分で決めているから
- 〇〇さんへの連絡 → 自分でないと正確に伝わらない気がする
このリストを作ることで、あなたが何に、どのような理由で抱え込みやすいのかが明確になります。これは、抱え込みを手放すための第一歩です。
ワーク2:「手放す」ハードルを下げるスモールステップ
「自分でないとダメ」リストができたら、次に、それを少しずつ手放していく練習をします。最初から完璧に手放そうとする必要はありません。小さな一歩から始めましょう。
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ステップ1:手放せそうなタスクに印をつける ワーク1で作ったリストを見ながら、「これなら、少しだけ誰かに頼めそうかな」「これなら、完璧でなくても一旦手放せるかも」と思えるタスクに印をつけてください。 ポイントは、「完璧にできなくてもOK」という前提で選ぶことです。
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ステップ2:誰に、何を、どうお願いするか具体的に考える 印をつけたタスクについて、誰に(夫、子供、職場の同僚、家族、外部サービスなど)、何を、どのように頼むか、具体的に考えてみましょう。 例:
- 夕食の準備の一部(例:野菜を洗う、テーブルを拭く)→ 夫に「野菜洗っておいてくれると助かるな」と声をかける。
- 子供の保育園準備(例:タオルをカバンに入れる)→ 子供に「明日のタオル、自分で入れられるかな?」と問いかける。
- 書類の整理 → 一旦「保留ボックス」を作り、後で誰かに手伝ってもらう(または完璧に整理しなくてOKとする)。
- 〇〇さんへの連絡 → 連絡内容をメモに書き出し、任せられる人に「この内容で連絡お願いできますか?」と渡してみる。
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ステップ3:小さなことから試してみる 具体的に考えたことを、まずは一つ、二つ、実践してみましょう。最初から全てを任せようとせず、タスクの一部を頼む、期間を決めて試すなど、ハードルを下げて挑戦します。
人に頼むこと、任せることは、練習が必要です。最初はうまくいかないこともあるかもしれません。しかし、完璧でなくても、まずは「手放してみる」という経験をすることが大切です。
ワーク3:結果が「完璧でなくてもOK」にする練習
誰かに任せたり、自分で完璧にやらなかったりした場合、結果があなたの基準通りにならないことがあるかもしれません。そんな時、「やっぱり自分でやればよかった」と後悔したり、自分や相手を責めたりしがちです。ここで、「完璧でなくてもOK」にする練習を取り入れます。
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ステップ1:結果に対する感情を観察する 任せた結果や、完璧にやらなかった結果を見て、どのような感情が湧いてくるか観察してください。がっかり、イライラ、不安など、正直な気持ちに気づくことが大切です。
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ステップ2:「完璧でなくても良かった点」を探す 結果が完璧でなかったとしても、良かった点や、一人で抱え込まなかったことで得られたメリットを探してみましょう。 例:
- 夫が洗った野菜に少し土が残っていた → でも、その間に別の作業ができた。一緒にキッチンに立つ時間を持てた。
- 子供がタオルの入れ忘れがあった → でも、自分で準備する練習になった。次に活かせる。
- 書類が完璧に分類されなかった → でも、一旦テーブルの上が片付いた。完璧を目指す時間を他のことに使えた。
- 任せた連絡で少しニュアンスが違った → でも、自分以外の人が対応できることが分かった。
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ステップ3:自分自身に「これでOK」と伝える 完璧でない結果に対して、「これでも大丈夫」「一人で抱え込んでつぶれてしまうより、これで良かった」と自分自身に優しく語りかけてください。タスクの結果だけでなく、「手放す練習をした自分」「完璧でなくても受け入れた自分」を認めて労います。
「完璧でなくてもOK」の基準は、タスクの質だけでなく、あなた自身の心のゆとりや、家族との協力関係など、様々な側面から見出すことができます。
実践する上でのヒントと継続のために
これらのワークは、一度試しただけで劇的に変わるものではありません。日々の生活の中で、意識して取り組むことが大切です。
- 「完璧に手放そう」としない: 手放すこと自体を完璧にこなそうとせず、「今日は一つだけ任せてみよう」「この部分だけはやらないでおこう」という気持ちで気軽に取り組んでください。
- 小さな「できた」を認める: 上手に手放せなかった日があっても大丈夫です。少しでも抱え込みを手放せたこと、手放そうと試みたこと、完璧でない結果を受け入れられたことなど、小さな「できた」に目を向け、自分を褒めてください。
- 周囲とのコミュニケーション: 家族や職場の同僚に、あなたが抱え込みやすいこと、少し手助けをお願いしたいと思っていることを、感謝の気持ちとともに伝えてみるのも有効です。
- 休息もタスクの一部と考える: 抱え込みを手放してできた時間を、自分を労わるための休息や、本当にやりたいことのために使うことも大切です。休息も、あなたのパフォーマンスを維持するための重要な「タスク」と捉えてください。
抱え込みを手放した先に見える景色
「自分でないとダメ」という思いを手放し、抱え込みすぎを少しずつやめていくことは、決して無責任になることではありません。むしろ、自分自身の限界を知り、上手に周りの力を借りることで、より持続可能で心穏やかな日常を送ることにつながります。
完璧主義を手放すことで、あなたは自分自身にもっと優しくなれます。そして、完璧ではない自分や、完璧ではない周りの状況も受け入れられるようになります。
一人で全てを抱え込まず、「これでOK」と自分に許可を出すこと。それは、あなたの心にゆとりを生み、家族との関わり方や、仕事との向き合い方にも良い変化をもたらすはずです。
今日から、小さな一歩で、「抱え込みすぎ」を手放す練習を始めてみませんか。