完璧じゃない自分時間でもOK。疲れた心と体を「これでOK」と労わるワーク
完璧主義だと「自分を満たす時間」すら完璧を求めて疲れてしまう
仕事、家事、育児と、休む間もなく一日が過ぎていく中で、「たまには自分のために時間を使いたい」と誰もが願うのではないでしょうか。好きな本を読む、ゆっくりお茶を飲む、趣味に没頭するなど、ほんの少しでも「自分を満たす時間」があれば、心も体もリフレッシュできるはずです。
しかし、完璧主義の傾向があると、この「自分を満たす時間」を確保することさえ、まるでToDoリストの項目を完璧にこなすかのように捉えてしまいがちです。
「せっかく時間を作るなら、〇時間確保しないと意味がない」 「完璧な環境で、誰にも邪魔されずに集中しないと」 「どうせ中途半端になるなら、最初からやらない方がマシ」
このように考えてしまい、結局「完璧な自分時間」が手に入らないことに落胆したり、時間を作れない自分を責めてしまったりすることもあるかもしれません。自分を労わるための時間が、かえって新たなプレッシャーや自己嫌悪の種になってしまうのは、とても辛いことです。
なぜ「完璧じゃない自分時間」でも良いのか
完璧主義を手放し、心穏やかに過ごすためには、「すべてを完璧に」という考え方から離れることが大切です。これは、日常のタスクだけでなく、「自分を労わる時間」についても同じことが言えます。
私たちは、意識しないと自分に厳しい評価を下してしまいがちです。「今日はあれもできなかった、これもできなかった」と、できていないところにばかり目が向いてしまいます。自分を満たす時間についても、「理想通りに確保できなかった」「集中できなかった」と、減点方式で評価してしまうことがあります。
しかし、ほんの数分でも、あるいはたとえ何も「特別なこと」をしなくても、自分自身に意識を向け、心や体の声に耳を傾ける時間は、必ず自分を労わることにつながります。完璧な環境や長い時間でなくても、「今、ここ」で自分に優しくする小さな試みが、積み重なって心のゆとりを生み出します。
必要なのは、自分を満たす時間の「質」や「長さ」を完璧にすることではなく、不完全でも良いから「自分を労わろう」という意識を持ち、たとえわずかでも行動に移し、それを「これでOK」と認めてあげることなのです。
完璧じゃない自分時間を「これでOK」と労わるためのワーク
ここでは、忙しい毎日の中でも無理なく取り入れられ、不完全でも自分を労わる時間を「これでOK」と受け入れられるようになるための、具体的なワークを紹介します。
ワーク1:最低限「これだけできればOK」設定
自分を満たす時間について、「理想」ではなく「最低限これだけできればOK」というハードルを設定します。
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理想の自分時間をリストアップする: まず、あなたがもし時間に追われていなかったら、どんな風に自分を満たす時間を使いたいか、いくつか書き出してみましょう。 例:好きな本を1時間読む、カフェでゆっくり過ごす、動画を見ながらゴロゴロする、好きな音楽を聴きながら散歩する、丁寧に入浴する...
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それぞれの「最低限これだけできればOK」を考える: リストアップしたそれぞれの項目について、「完璧じゃなくても良いから、これだけはできそう」という最もハードルの低い行動を考えてみます。 例:
- 好きな本を1時間読む → 1ページだけ読む
- カフェでゆっくり過ごす → 淹れたてのコーヒーを座って一口だけ飲む
- 動画を見ながらゴロゴロする → ベッドやソファに寝転んで目を閉じる30秒
- 好きな音楽を聴きながら散歩する → 好きな曲を1曲だけ聴く
- 丁寧に入浴する → お風呂の湯船に浸かる時間を2分だけ長くする
「これだけ?」と思うほどハードルを下げることがポイントです。「完璧じゃない」どころか、「ほとんど何もしていない」と感じるかもしれません。でも、自分を労わる第一歩は、この「最低限これだけ」を自分に許すことから始まります。
ワーク2:スキマ時間「発見」&「挿入」ワーク
日常の中に潜む、数秒から数分といった短い「スキマ時間」を見つけ、ワーク1で設定した「最低限これだけできればOK」の自分時間を意図的に挿入してみる練習です。
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一日のタイムスケジュールをぼんやりと振り返る: 朝起きてから夜寝るまで、どんな行動をしているか、ざっくりと振り返ってみましょう。特に、次の行動に移るまでの間や、移動時間、待ち時間などに注目します。 例:歯磨き中、信号待ち、エレベーター待ち、電子レンジでの加熱待ち、洗濯機が止まるまで、子どもが着替えるのを待つ間、仕事のメールチェックの合間、通勤・帰宅中...
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スキマ時間に「最低限自分時間」を挿入する可能性を探る: 見つけたスキマ時間に、ワーク1で考えた「最低限これだけできればOK」の行動を当てはめてみましょう。 例:
- 電子レンジの加熱待ち(1分)→ 椅子に座って目を閉じる30秒
- 洗濯機が止まるまで(2分)→ スマホで好きな音楽を1曲聴く
- 通勤中の電車内(5分)→ 本を1ページだけ読む
もちろん、全てのスキマ時間に何かをする必要はありません。ただ、「ここなら、ほんの少しだけ自分に優しい時間を持てるかも」という可能性に気づくことが大切です。そして、実際に試してみることで、「完璧な時間じゃなくても、少しは自分を労われたな」という感覚を得られます。
ワーク3:「できたこと」カウント&「これでOK」声かけワーク
ミニマム自分時間を持てたかどうかに関わらず、自分を責めずに「これでOK」と受け入れる練習です。
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一日を終える前に「できたこと」を振り返る: 寝る前や、少し落ち着ける時間に、今日あった出来事を振り返ります。「タスクを完璧にこなしたか」ではなく、「今日、自分が行動したこと」に焦点を当てます。ワーク1で設定した「最低限これだけできればOK」の自分時間を試せたなら、それも「できたこと」としてカウントします。 例:朝ごはんを作った、子どもの着替えを手伝った、仕事のメールを〇件返信した、洗濯機を回した、移動中に好きな音楽を1曲聴いた(←ミニマム自分時間)...
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完璧でなくても「これでOK」と自分に優しい言葉をかける: 振り返った「できたこと」に対して、評価を加えずに「〇〇ができたね」「大変だったけど、△△もやったね」と、客観的かつ肯定的に自分に語りかけます。 そして、たとえ計画通りに自分時間を持てなかった日や、ミニマム設定すら難しかった日でも、「今日は難しかったね。でも、精一杯やったね。今日のあなたは、これでOKだよ」と、自分に優しい言葉をかけて労わります。
このワークの目的は、「完璧に自分時間を確保する」ことではなく、「どんな状況でも、頑張っている自分を認め、『これでOK』と許してあげる」ことです。自分への内なる批判を和らげ、自己肯定感を育む練習になります。
実践する上でのヒント
- 最初から頑張りすぎない: まずはワーク1の「最低限これだけできればOK」設定だけやってみる、というだけでも良いでしょう。
- できなくても責めない: スキマ時間を見つけても、実際に自分時間を持てない日があるのは自然なことです。「できなかった」ではなく、「今日はタイミングが合わなかったな」と客観的に捉えましょう。
- 結果よりプロセスに注目: 自分時間を完璧に満喫できたかどうかではなく、「自分を労わろう」と思ったこと、そのために少しでも意識を向けたこと自体を「OK」としましょう。
- 自分に合った方法を見つける: ここで紹介したワークは一例です。あなたにとって最も無理なく試せる方法や、心地よく感じられる「ミニマム自分時間」を見つけてください。
完璧じゃない自分時間でも、心と体は癒される
完璧主義を手放し、不完全でも自分を労わる時間を「これでOK」と受け入れることは、心身の疲弊を和らげるだけでなく、自分自身への信頼感を育むことにもつながります。
自分を満たす時間は、完璧な形でなくても良いのです。たとえ短くても、中途半端に感じられても、自分自身に優しく意識を向けたその瞬間が、あなたの心と体を癒やし、明日へのエネルギーを与えてくれます。
忙しい毎日の中で「完璧な自分時間なんて無理」と感じているなら、ぜひ「完璧じゃない自分時間でもOK」という考え方を取り入れてみてください。そして、小さな一歩を踏み出し、それを「これでOK」と温かく受け入れてあげましょう。自分に優しくなれる時間が、きっとあなたの日常に穏やかなゆとりをもたらしてくれるはずです。