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「完璧じゃなくても大丈夫」と終わらせる練習。忙しい日常で「これでOK」を見つけるワーク

Tags: 完璧主義, これでOK, ワーク, タスク完了, 練習

完璧主義なあなたは、仕事や家事、育児など、目の前のタスクに全力で向き合っていることと思います。

「せっかくやるなら完璧に」「もっとできたはず」という気持ちが、あなたを突き動かしているのかもしれません。その頑張りは素晴らしいものですが、同時に「完璧に終わらせなくては」というプレッシャーは、あなたを苦しめていることもあるのではないでしょうか。

特に、忙しい毎日の中で、タスクを「これでOK」と区切り、次のことに移るのが難しく感じているかもしれません。

もし、このような経験に心当たりがあるなら、それは完璧主義が「タスクを完了させる力」を妨げているサインかもしれません。

この記事では、忙しい日常の中で「完璧じゃなくても大丈夫」とタスクを完了させ、「これでOK」と自分を認められるようになるための、具体的な練習ワークをご紹介します。無理なく取り入れられる小さな一歩から始めてみましょう。

なぜ完璧主義だと「終わらせる」のが難しくなるのか

完璧主義の根底には、「完璧でなければ価値がない」「失敗は許されない」といった強い思い込みがあることが少なくありません。この考え方は、タスクを完了させる際に以下のような影響を及ぼします。

  1. 「もっとできるはず」の追求: 終わりの見えない品質向上を求めてしまい、いつまでたっても「完成」のサインを出せない。
  2. 失敗への恐れ: 不完全な状態で提出したり、終わりにしたりすることで評価が下がることを過剰に恐れる。
  3. 達成基準の高さ: 自分の中で設定した「できた」のハードルが高すぎて、少しでも基準に満たない部分があると「終わっていない」と感じてしまう。

これらの影響により、タスクは「終わらない」状態になり、あなたは常に未完了のタスクに追われ、心休まる時間が減ってしまうのです。

「完璧じゃなくても大丈夫」と終わらせるためのワーク

それでは、この完璧主義による「終わらせられない」状態から抜け出し、忙しい日常の中で「これでOK」とタスクを完了させる力を育むための具体的なワークを見ていきましょう。

これらのワークは、特別な時間や場所を必要とせず、普段の生活の中で意識するだけで実践できます。

ワーク1:タスクの「これでOK」基準を設定する練習

完璧主義なあなたは、タスクの完了基準が無意識のうちに非常に高くなっている可能性があります。まずは、その基準を意識的に引き下げ、「これくらいならOK」というラインを具体的に決める練習をします。

実践ステップ:

  1. 小さなタスクを選ぶ: まずは、比較的短時間で終わる簡単な家事や仕事のタスク(例:テーブルを拭く、メールを1通返信する、おもちゃを片付けるなど)を選びます。
  2. 「完璧な状態」を想像する: そのタスクが「完璧に終わった」状態を具体的に想像してみます(例:テーブルに埃一つない、ピカピカの状態。メールの返信が相手に完全に誤解なく伝わる完璧な文章になっている)。
  3. 「これでOKな状態」を設定する: 次に、そのタスクの「完璧でなくても、日常で問題なく機能するレベル」を具体的に設定します(例:テーブルの目立つ汚れが取れていればOK。メールの返信は、要件が伝わっていれば多少の言い回しは気にしない。おもちゃが床に散らばっていない状態ならOK)。この「これでOK」ラインは、あなたの今の状況(時間、体力など)に合わせて、意図的にハードルを下げてみてください。
  4. 設定した基準で終えてみる: 実際にそのタスクを、「これでOKな状態」を目指して実行し、その基準に達したら完了とします。
  5. 振り返る: 終えた後、「完璧ではなかったけれど、これで困ることはあったか?」「設定した『これでOK』基準で十分だったか?」と振り返ります。多くの場合、設定した「これでOK」基準でも問題なく、むしろ早く終われたことに気づくはずです。

効果: 完璧な状態を目指すのではなく、「必要なレベルで終わらせる」という感覚を養います。タスク完了への心理的なハードルが下がり、より早く、多くのタスクに着手・完了できるようになります。

実践のポイント: 最初は本当に小さなタスクで試してください。「完璧な状態」と「これでOKな状態」の差を意識することが大切です。

ワーク2:意図的に「未完了の部分」を残して終える練習

「あと少し」が気になって終えられない癖を改善するために、あえて完璧ではない状態でタスクを完了させる練習をします。これは、不完全な状態への抵抗感を減らすための訓練です。

実践ステップ:

  1. 少し余裕のあるタスクを選ぶ: いつものタスクより少しだけ時間や心に余裕があるタスクを選びます。
  2. 「あえて残す部分」を決める: タスクを始める前に、「この部分は完璧にしなくても良い」「ここが少し不完全でも、これで終わりにしよう」という部分を意図的に決めます(例:資料作成で、図の細部まで整えない。洗濯物を畳むときに、きっちり角を揃えない。夕食作りで、盛り付けを普段よりシンプルにする)。
  3. 決めた通りに実行し終える: 実際にタスクを実行し、意図的に決めた「完璧にしない部分」をそのままにして、タスクを完了させます。
  4. 「不完全でも大丈夫だった」を体感する: 終わった後、「少し不完全な部分があるけれど、タスクは完了した」という事実と、「その不完全さで、何か大きな問題が起きたか?」を冷静に観察します。多くの場合、自分が気にするほど他人は気づかないか、あるいは多少の不完全さは許容されるものであることに気づくはずです。

効果: 不完全な状態でもタスクは完了できるという成功体験を積みます。完璧でないことへの不安や抵抗感が和らぎ、「まあ、これでいいか」と割り切る力が育まれます。

実践のポイント: 最初は本当に些細な「未完了」で構いません。このワークの目的は「手抜き」ではなく、「完璧でなくても機能する」ことを体感することです。

ワーク3:完了したタスクに「これでOK」の評価を与える声かけ練習

タスクを終えた後、完璧ではなかった部分にばかり目が行き、自己否定してしまう癖を改善します。完了した事実と、できた部分に意識を向け、「これでOK」と自分に肯定的な評価を与える練習をします。

実践ステップ:

  1. 終えたタスクをリストアップ: 今日一日で終えたタスクを、大小問わずリストアップします(例:朝食を作った、子どもの着替えを手伝った、メールに返信した、夕食の買い物をした)。
  2. できた部分に焦点を当てる: リストアップしたタスクについて、「完璧ではなかったかもしれないけれど、ここができた」という点に意識的に焦点を当てます(例:朝食は簡単なものだったけど、家族にお腹を空かせずに送り出せた。メール返信の言葉遣いは完璧ではないけど、伝えたい要件は書けた。夕食の買い物で、必要なものが買えた)。
  3. 「これでOK!」と声に出す(または心の中で強く思う): それぞれのタスクについて、「〇〇(できたこと)はできたから、これでOK!」「完璧ではなかったけれど、△△(タスク名)は完了した。これでOK!」と、自分自身に肯定的な声かけをします。心の中で強く思うだけでも効果がありますが、可能であれば実際に声に出してみると、より自分の中に響きます。
  4. できたことを数える: 一日の終わりに、その日「これでOK」と完了できたタスクを数えてみましょう。思っていた以上に多くのタスクをこなしていることに気づくはずです。

効果: 完璧ではなかった部分へのこだわりが減り、タスクを完了させた「できた自分」に意識を向けられるようになります。自己肯定感が育まれ、次のタスクへのモチベーションにつながります。

実践のポイント: 最初は照れくさいかもしれませんが、慣れると自然にできるようになります。完璧な声かけを目指す必要はありません。自分自身に優しい言葉をかける練習です。

実践する上での困難と継続するためのヒント

これらのワークを実践する上で、以下のような困難を感じるかもしれません。

このような時は、以下のヒントを試してみてください。

完璧主義を手放し、「これでOK」とタスクを終わらせることは、一朝一夕にできることではありません。しかし、日々の小さな練習を積み重ねることで、確実にその力は育まれます。

不完全でも前に進むことの価値

完璧主義を手放し、「完璧じゃなくても大丈夫」とタスクを完了させる力を身につけることは、単にタスク管理が楽になるだけではありません。

それは、あなたに心の余裕自己肯定感をもたらします。

終わらないタスクに追われるストレスから解放され、次のタスクにスムーズに進めるようになります。また、完璧でなくても「できた」と自分を認められるようになることで、自己嫌悪に陥る回数が減り、自分自身に優しくなれるでしょう。

忙しい毎日の中で、「すべてを完璧にこなす」ことは不可能です。どこかで線を引き、「これでOK」と区切りをつける勇気が、あなた自身を守ることにつながります。

今日から、小さなタスクで「完璧じゃなくても大丈夫」と終わらせる練習を始めてみませんか。不完全でも前に進むことの価値を、ぜひあなた自身で体感してください。

あなたの日常が、少しでも心穏やかになることを願っています。