完璧主義さんの「終わらない」を「これでOK」にする。罪悪感を手放す夜の習慣
完璧主義で頑張るあなたは、一日の終わりに「あれも終わらなかった」「これもできなかった」と、やることリストが残っているのを見て、がっかりしたり、自分を責めたりすることがあるかもしれません。特に仕事、家事、育児と複数の役割をこなしていると、全てを完璧にこなすことは物理的に難しく、終わらないタスクへの罪悪感が心に重くのしかかることもあるでしょう。
「完璧に終わらせなければ」という気持ちが強いほど、残ったタスクへの罪悪感は大きくなり、それがさらなる疲弊や自己肯定感の低下に繋がる悪循環を生むことがあります。しかし、毎日すべてを完璧に「完了」させることは、現実的ではないことがほとんどです。
この記事では、終わらないタスクへの罪悪感を手放し、「これでOK」と一日を終え、心穏やかに眠りにつくための具体的な習慣や考え方をご紹介します。
「終わり」の基準を「完了」から「一定の区切り」に変える
完璧主義の人は、「タスクは完全に完了してこそ終わり」と考えがちです。しかし、私たちの日常のタスクの多くには、「完璧な完了」という明確な終点がないことが少なくありません。例えば、家事は毎日続きますし、育児や仕事も「これで完璧に終わり」という瞬間は少ないでしょう。
ここで試していただきたいのが、「終わり」の基準を「完了」から「一定の区切り」に変えるという考え方です。
ワーク:タイムボックスを取り入れる
具体的な方法の一つとして、タイムボックスという手法があります。これは、タスクそのものの完了ではなく、「そのタスクに取り組む時間」を決めてしまう方法です。
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方法:
- 取り組むタスクを決めます。
- そのタスクに「どれくらいの時間」取り組むかを決めます(例: 30分、1時間)。
- 決めた時間が来たら、たとえタスクが完了していなくても作業を中断します。
- 終わらなかった部分ではなく、「決めた時間内はタスクに取り組めた」という事実をもって、「今日のこのタスクはこれで終わり」と区切りをつけます。
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効果:
- 「終わらなかった」部分への罪悪感が軽減されます。
- 時間内に集中して取り組む意識が高まります。
- タスクにかかる時間の見積もり力が養われます。
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実践のポイント:
- 最初は短い時間から試してみてください。15分でも20分でも構いません。
- 作業を中断する時は、「ここで一時中断」と自分の中で明確に区切りをつける意識を持つことが大切です。
ワーク:ミニマム達成ラインを設定する
もう一つは、タスクに取りかかる前に「これだけは最低限やる」というミニマム達成ラインを決めておく方法です。
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方法:
- 取り組むタスクを決めます。
- タスクの完了形ではなく、「これだけできたら今日のこのタスクはOKとする」という最低限のラインを具体的に決めます(例: 「今日のメールチェックは返信が必要なものだけ」「夕食の準備はメインのおかずだけ作る」)。
- 設定したミニマムラインが達成できたら、たとえ他にもやることが残っていても、今日のそのタスクは「OK」とします。
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効果:
- 「完璧に全部やらなければ」というプレッシャーが減ります。
- 「できたこと」に目が向きやすくなります。
- 本当に優先すべきことを見極める練習になります。
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実践のポイント:
- ミニマムラインは、最初は「拍子抜けするくらい簡単」に設定するのがおすすめです。少しずつレベルを上げていきましょう。
- 誰かの評価ではなく、あくまで「今日の自分の状態」に合わせてラインを設定することが重要です。
「やらないことリスト」で心に余白を作る
全てを完璧にやろうとすることは、私たちのキャパシティを容易に超えてしまいます。物理的にも時間的にも限界があるにも関わらず、「これも、あれも」と抱え込みすぎると、当然すべてを終わらせることはできず、その結果として罪悪感が生まれます。
ここで有効なのが、意識的に「やらないこと」を決めることです。
ワーク:「やらないことリスト」を作成する
日々のタスクリストを作るのと同じように、「今日やらないこと」「今週やらないこと」をリストアップしてみましょう。
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方法:
- 今日または今週やりたいこと、やるべきことを書き出します。
- その中で、「今日/今週、仮にやらなくても大きな問題はないこと」や「今の自分にとっては負担が大きすぎるこt」をリストアップします。
- これが「やらないことリスト」です。このリストにあることは、意図的に「やらない」と決めます。
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効果:
- 本当に重要なタスクに集中できるようになります。
- 心に余白が生まれます。
- 「できなかった」という罪悪感の源を減らすことができます。
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実践のポイント:
- 最初は「少し気になるけど、まあいいか」と思える程度の些細なことからリストアップしてみましょう。
- 「やらないこと」を決めることは、「手抜き」ではなく、限られたエネルギーを本当に大切なことに使うための「戦略的な選択」だと捉え直してみてください。
一日の終わりに「できたこと」と「感謝」を数える習慣
完璧主義の人は、「できなかったこと」「まだ足りないこと」に自然と目が向きやすい傾向があります。一日の終わりにその日のタスクを振り返る際も、無意識のうちに「終わらなかったことリスト」を心の中で作成し、自己嫌悪に陥ってしまうことがあります。
この思考パターンを変えるために、意識的に「できたこと」に焦点を当てる習慣を取り入れましょう。
ワーク:「今日のOKリスト」と「感謝ノート」
夜寝る前など、心身が落ち着いている時間帯に、その日を振り返る時間を数分だけ取ってみましょう。
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方法:
- ノートや手帳、スマホのメモ機能などに、「今日できたこと」を3つ書き出します。大きなことでなくても構いません。例えば、「朝、時間通りに起きられた」「子どもに絵本を読んであげられた」「昼休憩に少し休めた」「一つだけメールの返信ができた」など、些細なことでも構いません。「完璧ではなくても、とにかくやったこと」をリストアップします。これが「今日のOKリスト」です。
- 次に、「今日あった良かったこと」や「感謝していること」を一つだけ書き出します。自分自身に向けた感謝(例: 「疲れていたけど頑張った自分、ありがとう」)でも、家族や友人、職場の同僚、あるいは当たり前だと思っていること(例: 「今日も美味しいご飯が食べられた」「暖かい布団で眠れる」)でも構いません。
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効果:
- 「できなかったこと」ではなく、「できたこと」に意識が向き、達成感を感じられます。
- 自己肯定感が育まれます。
- 一日をポジティブな気持ちで締めくくることができます。
- 感謝の気持ちを持つことで、心が穏やかになります。
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実践のポイント:
- これも毎日完璧にやる必要はありません。できる日だけで構いません。
- 「書く」という行為が難しければ、心の中で3つ数えるだけでも効果があります。
- 「できたこと」のハードルを極限まで下げ、「まあ、これもやったかな」くらいの緩さでリストアップしてみてください。
実践する上でのヒント
これらのワークを試す際、最初は「本当にこれで罪悪感はなくなるの?」「結局何も終わらないのでは?」といった不安を感じるかもしれません。長年染み付いた完璧主義の思考パターンは、そう簡単に変わるものではないからです。
大切なのは、これらのワークを「完璧にやらなければならない」と思わないことです。
- 小さく始める: まずは一つのワークから、無理のない範囲で試してみてください。
- 「できたこと」を意識する: ワークが完璧にできなくても、「今日、少しでも意識できたな」という点に目を向けましょう。
- 自分に優しく: 罪悪感が湧いてきても、「ああ、また罪悪感を感じているな」と、その感情を否定せず、ただ受け止める練習をしてみましょう。「完璧でなくても大丈夫だよ」と自分に声をかけることも有効です。
- 継続できなくてもOK: 毎日継続できなくても、自分を責めないでください。「また明日からやってみよう」と軽い気持ちで再開すれば十分です。
完璧主義を手放し、「これでOK」と一日を終えるということ
終わらないタスクへの罪悪感を手放し、「これでOK」と一日を終えることは、「手を抜く」ことや「諦める」こととは違います。それは、限られた時間やエネルギーの中で、自分にとって本当に大切なことを見極め、自分自身の心身の健康を守るための、賢明な選択です。
「完璧に終わらせなければ」という重圧から解放されることで、心にゆとりが生まれ、目の前のタスクや家族との時間により穏やかに向き合えるようになります。
今日できなかったことは、また明日やれば良いのです。「これでOK」と自分に許可を与え、心地よく一日を終える習慣を、少しずつ日常生活に取り入れてみてください。自分を労りながら、あなたらしい「これでOK」の基準を見つけていく旅を、応援しています。