完璧主義で滞る家事・仕事。「これでOK」で終わらせる3つのヒント
「終わらない」タスクに疲れていませんか?
仕事、家事、育児。どれもきちんと、できれば完璧にこなしたいと思う気持ちは、きっと多くの方が持っているものです。特に、限られた時間の中でいくつもの役割を果たそうとされている方なら、一つ一つのタスクを理想通りに終えられないことに、もどかしさや自己嫌悪を感じてしまうこともあるかもしれません。
「もっとちゃんとできたはず」「完璧に仕上げないと意味がない」
そう考えているうちに、タスクはいつまでも「進行中」のまま、終わる気配がなく、どんどん積み重なっていく。そのタスクを見るたびに、ため息が出て、疲弊していく。そんな経験はありませんか。
完璧を目指すあまり、物事が「終わらない」「終わらせられない」という状態は、心身に大きな負担をかけます。自己肯定感が下がったり、常に時間に追われている感覚に陥ったり。
この記事では、その「終わらない」ループから抜け出し、「これでOK」とタスクを完了させるための具体的なヒントを3つご紹介します。どれも、日々の暮らしの中で無理なく試せる、小さなステップです。
ヒント1:完了の定義を「最高の状態」から「目的達成」にシフトする
完璧主義の方がタスクを終わらせられないのは、「最高の状態」を完了の基準に設定しがちだからです。しかし、「最高」には終わりがありません。どこまでも改善の余地があるように見えてしまいます。
ここで視点を変えてみましょう。そのタスクを行う「目的」は何でしょうか。
- ワーク:タスクの「最低限の目的」を明確にする
タスクを始める前に、立ち止まって考えてみてください。「このタスクは何のために行うのか?」「これが完了したと言える最低限の状態はどのようなものか?」
例えば、夕食作りであれば、「家族がお腹いっぱいになって、健康が保てること」が主な目的かもしれません。それならば、品数を多くしたり、盛り付けを美しくしたりといった「最高の状態」は必須ではありません。時には惣菜に頼ったり、簡単な一品料理で済ませたりすることも、「目的達成」と見なすことができます。
仕事のメール返信であれば、「相手に必要な情報が正確に伝わること」が目的のはずです。であれば、丁寧すぎる言い回しや装飾は不要かもしれません。要点を押さえた返信ができれば「目的達成」、つまり完了です。
この「最低限の目的」を意識することで、どこまでやれば「OK」なのかの線引きが見えやすくなります。可能であれば、タスクリストの横などに「目的:〇〇」「完了基準:△△」のように書き出してみるのも良いでしょう。
ヒント2:制限時間を設けて「強制終了」を練習する
時間をかければかけるほど、もっとできる、もっと良くできると考えてしまい、いつまでもタスクから離れられなくなることがあります。これを断ち切るために、あえて時間を区切ってみましょう。
- ワーク:タイマーを活用し、時間内で「これでOK」を見つける
キッチンタイマーやスマートフォンのタイマー機能を使って、特定のタスクに取り組む時間を設定します。そして、時間になったら、その時点での完了を目指します。たとえ理想通りでなくても、そこで一旦「これでOK」として作業を終える練習をします。
例えば、洗濯物を畳む時間を15分と決める、メールチェックの時間を10分と決める、書類整理の時間を20分と決めるなどです。時間内に終わらなければ、そこで作業を中断し、続きはまた別の機会にするか、あるいはその時点でできる限りの状態を「完了」と見なします。
最初は、設定した時間内に終わらせられないことに焦りや不満を感じるかもしれません。しかし、これは「完璧に終わらせる」ためのワークではなく、「時間で区切ることで、完璧を目指し続けるループから抜け出す」ための練習です。回数を重ねるうちに、限られた時間内で「どこまでやれば目的は達成できるか」を考える力が養われていきます。
最初から厳密な時間設定が難しければ、「いつもより5分短くやってみよう」など、小さな目標から試してみてください。
ヒント3:完了した「状態」ではなく「行動」に目を向ける
完璧主義の方は、タスクが完璧な「状態」で完了したかどうかを重視しがちです。しかし、日常の多くのタスクは、継続的に行うものであり、一度やれば永続的に完璧な状態が保たれるわけではありません。
ここで大切なのは、タスクの「結果としての状態」だけでなく、そこに至るまでの「行動」に目を向けることです。
- ワーク:「完璧な状態」ではなく「取り組んだ行動」を完了とみなす
「部屋がピカピカになったか」ではなく、「掃除機をかけた」「水回りを〇分掃除した」といった「行動」自体を完了とみなします。「栄養バランスの取れた全て手作りの食卓」ではなく、「今日の夕食は作った」「冷蔵庫の残り物で工夫した」といった「行動」や「工夫」を完了とみなすのです。
タスクを小さな「行動」の集まりとして捉え、それぞれの行動が完了したらチェックを入れていくイメージです。「〇〇について調べ始めた」「△△のメールのドラフトを書いた」など、始めることや途中経過も小さな完了と捉えましょう。
このワークは、「できたこと」に焦点を当てる練習にもなります。完璧な状態に到達しなかったとしても、「これだけできた」という行動の積み重ねを認識することで、自己肯定感を保ちやすくなります。
完璧主義を手放すことは「手抜き」ではありません
これらのヒントを試そうとすると、「こんなやり方では完璧にならない」「これは手抜きではないか」という内なる声が聞こえてくるかもしれません。しかし、完璧主義を手放すことは、決して手抜きや妥協ではありません。
それは、限られた時間やエネルギーを、本当に大切なこと、あるいは今の自分にとって優先すべきことに効率的に使うための、賢い選択です。終わらないタスクに追われて心身をすり減らすよりも、「これでOK」と完了させて、できた自分を認め、休息を取ることの方が、長期的に見れば自分にとっても、家族にとっても、プラスになるはずです。
もちろん、これらのワークを試しても、すぐに完璧主義の考え方がなくなるわけではないでしょう。また完璧を目指してしまう自分に気づくこともあるはずです。そんな時は、「これも練習」と受け止め、自分を責めずに、また小さなステップから試してみてください。
「完璧に完璧主義を手放す」必要はありません。少しずつ、できることから、あなたのペースで。
「これでOK」という言葉は、タスクへのGOサインであると同時に、頑張っているあなた自身への、優しさの言葉でもあります。その言葉を、ぜひ自分自身にかけてあげてください。