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完璧主義さんが「終えられない」悩みを手放す。「これでOK」でタスク完了するワーク

Tags: 完璧主義, タスク管理, 完了, これでOK, ワーク, 時間管理, 自己肯定感, 家事, 育児

私たちは日々の生活の中で、仕事、家事、育児と、たくさんのタスクを抱えています。一つ一つを丁寧に、完璧にこなそうとする気持ちは素晴らしいものです。しかし、その完璧を目指す気持ちが強すぎると、目の前のタスクがいつまで経っても「終わらない」ように感じたり、次々と新しいタスクに追われてしまい、常に時間に追われているような感覚に陥ることも少なくありません。

「あれもこれも、まだ完璧じゃない」「もっとできるはずなのに、時間が足りない」

そう感じていると、たとえ多くのタスクをこなしていても、達成感よりも疲労感や自己否定感が勝ってしまうことがあります。完璧主義の傾向があると、タスクを「完了」させるための基準が非常に高くなりがちです。例えば、「部屋の掃除」なら、埃一つない状態を目指したり、「資料作成」なら、どんな質問にも答えられるよう隅々まで調べつくそうとしたりします。その結果、タスク完了までに時間がかかりすぎたり、途中で行き詰まってしまったりして、「終わらない」という感覚に拍車がかかってしまうのです。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。本当に、すべてのタスクを完璧に仕上げる必要があるのでしょうか。そして、その「完璧」を目指す過程で、心や体が疲弊してしまっていないでしょうか。

完璧主義を手放し、タスクを「完璧に」ではなく「これでOK」という基準で「完了」させる練習を始めることは、忙しい日常に心のゆとりを取り戻すための一歩となります。ここでは、タスクを「終える」ことに焦点を当てた、具体的なワークをご紹介します。

ワーク1:「完了」の定義を書き換える

完璧主義さんは、無意識のうちにタスクの「完了」基準を高く設定しています。まずは、その基準を意識的に見直し、「これでOK」とするラインを具体的に設定してみましょう。

方法:

  1. 今日のタスクを書き出す: 仕事でも家事でも育児関連でも構いません。今日やる予定のタスクをいくつかリストアップします。
  2. 各タスクの「完璧な完了」と「OKな完了」を定義する: 各タスクの横に、自分が無意識に目指しているであろう「完璧な完了」の状態を書き出します。次に、「これだけやれば、今日の目的は達成できる」という最低限の「OKな完了」の状態を具体的に書き出します。
    • 例:
      • タスク:「夕食作り」
        • 完璧な完了:栄養バランス満点の手作り料理3品、盛り付けも綺麗、使った調理器具は全てすぐに洗う
        • OKな完了:冷蔵庫にあるもので主菜と副菜1品、温めるだけのものや冷凍食品も活用OK、食洗機OKなものは後でまとめて洗う
      • タスク:「子供の明日の準備」
        • 完璧な完了:持ち物リストを完璧に確認、洋服はコーディネートを考えてシワなく畳んで準備
        • OKな完了:リストを見ながら持ち物をバッグに入れる、着替えは本人が選びやすいように出す
  3. 「OKな完了」を目指して実行する: 今日は「完璧な完了」ではなく、意識的に「OKな完了」を目指してタスクを実行します。
  4. 結果を振り返る: 「OKな完了」で済ませてみて、何が変わったか、どんな気持ちになったかを短い言葉で書き留めます。

効果: このワークは、タスクに対する無意識のハードルを下げ、「終わらせる」ことへの心理的な抵抗を減らします。「これでOK」という新しい基準を持つことで、どこでタスクを終えて良いかが明確になり、完了までのスピードが上がることが期待できます。

ワーク2:「区切り時間」を設定する

完璧を目指して一つのタスクに時間をかけすぎてしまう場合、意識的に「時間制限」を設けることが有効です。

方法:

  1. タスクと時間を決める: 一つまたは複数のタスクを選びます。そのタスクにかけられる「最大時間」を決めます。例えば、「メールチェックと返信に15分」「今日のブログ記事の構成を考えるのに20分」「子供のおもちゃ片付けに10分」など。
  2. タイマーをセットする: スマートフォンやキッチンのタイマー、PCのストップウォッチ機能など、何でも構いません。設定した時間をタイマーにセットします。
  3. 時間内で「これでOK」を目指す: タイマーが鳴るまでの間、そのタスクに集中します。タイマーが鳴ったら、たとえ完璧に終わっていなくても、そこで作業を中断し、「この時間でできたところまででOK」と区切りをつけます。
  4. 次の行動に移る: 区切りをつけたら、すぐに次のタスクや休憩など、予定していた次の行動に移ります。

効果: このワークは、時間を意識することで、タスクの完了基準を「時間内でできるところまで」に自動的に調整する効果があります。「時間切れでもこれでOK」とすることで、完璧に終わらせられなかった自分を責めるのではなく、時間内に集中して取り組めた自分を認める練習になります。忙しい合間の短い時間でも「完了」を積み重ねる感覚を養えます。

ワーク3:「完了リスト」を作る

完璧主義さんは、できていないことや課題に目が行きがちです。「終わらなかったタスク」ではなく、「終わらせたタスク」に意識を向ける習慣をつけましょう。

方法:

  1. 簡単なノートやアプリを用意する: 手帳の片隅、メモ帳アプリ、TODOリストアプリの完了済みリストなど、何でも構いません。
  2. 「これでOK」で終えたタスクを記録する: ワーク1やワーク2で「これでOK」として終えたタスク、あるいは、普段の生活の中で「完璧ではないけれど、まあ大丈夫」として終えたタスクを、意識的にそこに書き込んでいきます。簡単なメモで十分です。例:「夕食作りOK」「子供準備OK」「メール返信15分でOK」「洗濯物たたむOK」など。
  3. リストを眺める: 1日の終わりや寝る前などに、そのリストを眺めます。今日、自分が「これでOK」として終えたタスクがこれだけある、という事実を確認します。

効果: このワークは、達成感や肯定感を意識的に得るためのものです。完璧にできなかった点を探すのではなく、「これでOK」として終えたタスクをリストアップすることで、「自分はちゃんとやれている」という感覚を育みます。小さな完了を積み重ねることで、自己肯定感を高め、自己嫌悪に陥る回数を減らすことが期待できます。

完璧でなくても大丈夫。「終える勇気」と自分への労い

これらのワークは、最初から完璧にできる必要はありません。新しい習慣を身につけるには時間がかかりますし、「本当にこれで大丈夫かな」と不安になることもあるでしょう。そんな時は、「今は練習中だ」と考えて、自分に優しく声をかけてみてください。

また、「OKな完了」を実践する上で、家族の協力や理解も大切です。一人で抱え込まず、「完璧じゃなくてごめんね、でもこれで助かるんだ」という気持ちを伝え、協力をお願いすることも、「これでOK」の世界を広げることにつながります。

完璧を目指すことから「これでOK」で終えることにシフトすることは、「完璧でなければ価値がない」という考え方から、「完璧でなくても、終えること自体に価値がある」という新しい価値観への転換です。それは、タスクを溜め込まず、次の行動へスムーズに移行するための大切なスキルでもあります。

「終わらない」という感覚から抜け出し、一つ一つのタスクに「これでOK」と区切りをつけられるようになると、心にゆとりが生まれ、忙しい日々の中にも穏やかな時間を見つけやすくなります。完璧でなくても、ちゃんと終えられている自分を認め、そして、日々頑張っている自分を労わってあげてください。