人に頼るのが苦手な完璧主義さんへ。任せきれなくても「これでOK」になるハードル下げワーク
一人で抱え込んで疲れていませんか
仕事に家事、育児と、毎日多くのタスクをこなす中で、「自分がやらなければ」とつい抱え込んでしまうことはありませんか。特に完璧主義の傾向がある方は、「人に頼むよりも自分でやった方が早い」「頼んだことで相手に迷惑をかけたくない」「どう頼めばいいか分からない」といった思いから、全てを一人で背負い込んでしまいがちです。
しかし、頑張りすぎて心身が疲弊してしまうことは、長期的に見て最善とは言えません。完璧を目指しすぎると、かえって物事が滞ったり、イライラが増えたりすることもあります。
この「これでOKワークショップ」では、そんな完璧主義を手放し、自分を労わりながら心穏やかに日々を送るためのヒントをお届けしています。今回は、「人に頼るのが苦手」という悩みに焦点を当て、任せきれなくても「これでOK」と受け入れられるようになるための具体的なワークを紹介します。
人に頼ることは、決して「手を抜く」ことや「逃げる」ことではありません。自分一人で抱え込まず、周囲と協力することで、より効率的に、そして何より自分自身の心にゆとりを生み出すための大切なスキルです。そして、頼ることも「完璧」にこなす必要はないのです。
人に任せるハードルを下げるワーク
完璧主義さんが人に頼るのが難しい理由の一つに、「完璧に任せたい」「完璧な結果を得たい」という無意識の期待があります。しかし、最初から完璧を求めず、小さな一歩から始めることが大切です。
ワーク1:タスク分解&「部分的OK」基準の設定
任せたいと思っているタスクを思い浮かべてみてください。そのタスクを、可能な限り細かく分解してみましょう。
例えば、「夕食の準備」であれば、 * 献立を考える * 買い物に行く * 野菜を洗う * 野菜を切る * 肉や魚を調理する * ご飯を炊く * 盛り付けをする * 食卓に並べる * 片付けをする
のように分解できます。
次に、分解したタスクの中で、「これなら他の人(夫や子どもなど)にお願いできるかも」「完璧にできなくても、部分的にお願いするだけで助かる」と思える部分を見つけます。
「野菜の泥を洗うだけ」「ご飯を炊飯器にセットするだけ」「食卓に食器を並べるだけ」など、本当に小さなことから試してみましょう。そして、「完璧にきれいに洗えなくてもOK」「多少盛り付けが雑でもOK」のように、「部分的OK」の基準を自分の中で設定します。この基準は、最初はびっくりするくらい低くて大丈夫です。
実践のポイント
- まずは一つ、本当に小さなタスクを選びましょう。
- 相手に頼むときは、「〇〇だけお願いできるかな?」「これが終わったらこれでOKだから」のように、具体的な範囲と「OK」の基準を伝えてみましょう。
ワーク2:「任せた結果」を完璧にしないワーク
人に任せた後、つい結果が自分の基準通りになっているか確認し、もし違ったらやり直したくなるかもしれません。しかし、ここで「任せた結果を完璧にしない」練習をしてみましょう。
例えば、子どもに洗濯物たたみをお願いして、多少ぐちゃぐちゃでも、夫にお風呂掃除をお願いして、普段自分が磨かないところが残っていても、まずは「これでOK」と受け入れてみます。
任せたこと自体が、あなた自身の負担を減らすことにつながっています。結果の完璧さではなく、頼んだことによって生まれた自分の時間や心のゆとりに目を向けましょう。
実践のポイント
- 任せた結果が自分の基準と違っても、すぐに手を出してやり直さないように意識します。
- お願いした相手には、結果の出来栄えに関わらず「ありがとう。助かったよ」と感謝を伝えるようにします。相手の「手伝ってくれた」という行為そのものに価値を置く練習です。
- 「まあ、これでいっか」と声に出して自分に言い聞かせるのも有効です。
ワーク3:頼む「言葉」をシンプルにするワーク
人に何かをお願いするとき、「失礼なく頼まなければ」「相手に負担をかけないように丁寧に説明しなければ」と考えすぎて、頼み出すまでに時間がかかったり、結局自分でやってしまったりすることがあります。
「完璧な頼み方」を探しすぎず、シンプルな言葉で意図を伝える練習をしましょう。
例えば、「ごめん、ちょっとこれお願いできる?」「悪いんだけど、〇〇手伝ってもらえる?」など、定型的な短いフレーズで十分です。詳細な説明が必要な場合は、相手に「詳しいことはまた説明するね」と一言添えるだけでも構いません。
実践のポイント
- 頼む前に「どう言えば完璧か」と考え込むのをやめます。
- まずは口に出してみる、という小さな行動を意識します。
- 相手が理解できなかったり、難しそうだったりしたら、その時に補足したり、「やっぱり大丈夫」と一度保留にしたり、別の方法を考えたりすれば良いのです。「最初に完璧に伝えられなくてもOK」と考えましょう。
頼ることを「自分を労わる行動」と捉え直す
完璧主義の根底には、「自分で全てを完璧にこなせてこそ価値がある」といった無意識の思い込みがあるかもしれません。しかし、あなたの価値は、こなしたタスクの量や完璧さで決まるわけではありません。
人に頼ることは、決してあなたの能力が低いことを意味するのではなく、「自分一人には限界がある」という当たり前のことを認め、「より良い状態を目指すために協力を求める」という賢明な行動です。
そして何より、人に頼ることで生まれた時間や心のゆとりは、あなた自身が休息したり、本当に大切なことにエネルギーを使ったりするための大切な機会になります。それは、自分を大切に労わるための行動なのです。
完璧に任せられなくても、頼んだ結果が完璧でなくても、「これでOK」。この「OK」を積み重ねることで、一人で抱え込む状態から少しずつ解放され、心穏やかな日常へとつながっていくはずです。
小さな一歩から、「頼る」ワークを試してみてください。あなたの毎日が、もっと軽やかになることを願っています。