心穏やかに過ごすために。「できたこと」と「感謝」を見つけるワーク
完璧主義で疲れていませんか?「できていないこと」ばかりに目が向いてしまう心
仕事も家事も育児も、すべてをきちんとこなそうと毎日走り続けていると、心身ともに疲れを感じてしまうことはありませんか。完璧を目指すあまり、どうしても「あれができなかった」「これも不十分だった」と、できていないところにばかり意識が向きがちになります。
「もっとこうすればよかったのに」 「どうして私はいつもこうなんだろう」
そんな風に自分を責めてしまい、自己肯定感が下がってしまうこともあるかもしれません。周りの人やSNSを見ては、「もっと頑張らなくては」と焦りを感じることもあるかもしれません。
心穏やかに過ごしたい、もう少し自分に優しくなりたい。そう感じている方へ。完璧主義を手放し、少しずつ心を軽くしていくための具体的なワークをご紹介します。日々の忙しさの中でも無理なく試せる、小さな一歩となるはずです。
完璧主義で見えにくくなる「見えない頑張り」と「小さな幸せ」
完璧主義の人は、目標を高く設定し、そこに向けて努力を惜しみません。それは素晴らしい強みでもあります。しかしその反面、高い目標に到達しないと「ダメだ」と感じたり、日々の「当たり前」のようにこなしている数えきれないほどの「できたこと」や、身の回りにある「小さな幸せ」が見えにくくなってしまうことがあります。
特に、家庭や育児、仕事といった複数の役割を担っていると、その「見えない頑張り」は膨大になります。朝起きて身支度をすること、家族の食事を用意すること、子どもを着替えさせること、メールチェックをすること、一つ一つのタスクは小さくても、それが積み重なると大きな労力です。
完璧主義を手放すとは、決して手を抜いていい加減になることではありません。頑張っている自分を正当に評価し、今ある豊かさやポジティブな側面に意識を向け直すことで、心の余裕を取り戻し、結果としてより自分らしく、穏やかに過ごせるようになることです。
そこで今回は、日々の生活の中で簡単にできる、「できたこと」と「感謝」に焦点を当てる二つのワークをご紹介します。
ワーク1:「今日の小さなできたこと」リストを書き出す
このワークは、一日の終わりに、その日自分が「できたこと」を意識的に見つけ出し、書き出すというものです。どんなに小さく些細なことでも構いません。
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方法:
- 夜、寝る前に時間を少し取ります。
- ノート、手帳、スマートフォンのメモ機能など、書きやすいものを用意します。
- 今日一日を振り返り、「できたこと」を思いつく限り書き出します。
- 目標は3つから5つ程度です。数にこだわりすぎず、気軽に始めてみましょう。
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書き出すことの例:
- 朝、時間通りに起きられた
- 子どもに絵本を読んであげた
- 温かいコーヒーを飲んで休憩した
- 今日のタスクを一つ完了させた
- 信号待ちで深呼吸をした
- 自分にご飯を作った
- 笑顔で「おはよう」と言えた
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なぜ有効か: 私たちはつい「できなかったこと」を反芻しがちです。このワークは、意識を強制的にポジティブな側面に向け直す訓練になります。日々「できている」ことを認識することで、自分は何もできていない、という否定的な思考パターンにブレーキをかけ、自己肯定感を少しずつ高める効果が期待できます。
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実践のポイント: 完璧に書こうとせず、「これくらい当たり前」と思わず、どんなに些細なことでも「できたこと」として認めましょう。毎日続けられなくても自分を責めないでください。「今日は疲れたからお休み」でも全く問題ありません。続けること自体が目的ではなく、意識を向けることが目的です。
ワーク2:日常に「ありがとう」を見つける感謝ワーク
このワークは、日々の生活の中で、自分が「ありがたいな」「感謝だな」と感じる瞬間に意識を向け、それを心の中で思ったり、書き留めたりするものです。
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方法:
- 通勤時間、家事の合間、お休み前など、数分間の余裕がある時に行います。
- 周りを見渡したり、一日を振り返ったりして、「ありがたいな」と感じることを探します。
- それを心の中で「ありがとう」と思ったり、ワーク1と同様にノートやスマホに書き出したりします。
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「ありがとう」と感じることの例:
- 家族が元気でいてくれること
- 美味しい食事ができたこと
- 晴れて洗濯物が乾いたこと
- 電車が時間通りに来たこと
- 同僚が手伝ってくれたこと
- 暖かい家で過ごせること
- お風呂にゆっくり浸かれたこと
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なぜ有効か: 感謝の気持ちを持つことは、今あるもの、すでに手にしている豊かさに目を向けることです。これは「足りない」「不十分だ」と感じやすい完璧主義の傾向を和らげ、満たされているという感覚をもたらします。小さなことにも感謝できる心の習慣は、心の充足感を高め、現状を肯定的に受け入れる力を養います。
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実践のポイント: これもまた、大きな出来事や特別なことでなくても大丈夫です。「今日の空が綺麗だったな、ありがとう」「温かい布団で眠れるな、ありがとう」といった、日常のささやかなことに意識を向けましょう。義務感ではなく、ゲーム感覚で「いくつ見つけられるかな?」というように楽しんでみてください。書くのが大変なら、心の中で思うだけでも十分な効果があります。
継続のヒント:完璧を目指さないこと
これらのワークは、「完璧に毎日続けること」が目的ではありません。疲れている日、どうしても気分が乗らない日があっても、それは自然なことです。「今日はできなかったな」と自分を責めるのではなく、「また明日、気が向いたらやってみよう」と軽く受け流すことが大切です。
大切なのは、完璧主義を手放し、意識的にポジティブな側面に目を向ける「練習」をすることです。練習ですから、うまくいかない日があっても当然です。気負わずに、できる時に、できる範囲で試してみてください。
まとめ:完璧を手放し、自分に優しく、心穏やかな毎日へ
完璧主義を手放すことは、決して楽をすること、いい加減になることではありません。それは、頑張りすぎて疲弊してしまう自分に気づき、もっと自分を大切に扱い、自分に優しくなることを選ぶということです。
「できたこと」に目を向け、「ありがとう」を見つけるワークは、否定的な自己評価から離れ、今この瞬間の小さな肯定感や幸福感に気づくための練習です。これらの小さな実践が、日々時間に追われがちなあなたの心に、少しでも穏やかさをもたらすことを願っています。
完璧じゃなくても、大丈夫。今日のあなたも、きっとたくさんのことを乗り越え、頑張っています。どうぞ、その頑張りを認めてあげてください。そして、自分自身に「これでOK」と優しく語りかけてあげてください。