完璧主義を手放し、今日の「これでOK」を見つけ自分を褒めるワーク
終わらないタスク、満たされない気持ち。その疲れは「完璧」を目指すサインかもしれません
仕事、家事、育児。どれもこれも、「ちゃんと」やらなければと思うほど、終わりが見えなくなってしまうように感じることはありませんか。
「もっとこうすればよかった」「あれもこれもやり残している」
そう感じながら一日を終えるたび、頑張ったはずなのに、なぜか満たされない、むしろ自己嫌悪に陥ってしまう。多忙な日々の中で、完璧を目指すほどに疲弊していく、そんな感覚に心当たりがあるかもしれません。
完璧主義の思考は、時に私たちを強く動かす原動力にもなります。しかし、それが「終わらない」「十分ではない」という感覚につながると、心は常に緊張状態となり、小さな達成感さえ見失いがちになります。特に時間に追われる日々では、完璧な完了を目指すこと自体が、さらなる焦りや疲労を生む原因となってしまうことがあります。
この記事では、完璧な完了ではなく、「今日のこれでOK」を見つけ、自分に小さな達成感を与えるための具体的な思考と行動のワークをご紹介します。日々のタスクに追われながらも、心穏やかに過ごすためのヒントとして、ぜひ試してみてください。
なぜ私たちは「これでOK」と終えられないのか
多忙な中でも「これでOK」とタスクを区切り、心穏やかに過ごすことが難しいのは、いくつかの思考パターンが影響している場合があります。
- 「完璧な完了」へのこだわり: 少しでもやり残しがあったり、理想通りでなかったりすると、「完了ではない」と感じてしまう。
- 他者評価への恐れ: 「これくらいで終わりなんて、人からどう思われるだろう」といった、無意識の他者評価への不安。
- 自己否定癖: 「もっとできるはずなのに」と、常に自分に厳しい評価を下してしまう。
- 「終わらせること」よりも「やっていること」に価値を置く: 常に忙しくしていること、頑張り続けていることに安心感を感じる。
これらの思考パターンは、私たちの内側に根強く存在し、意識しないうちに「これでOK」と区切りをつけることを難しくしています。まずは、自分がどのような思考に囚われやすいかを少し意識してみることから始めてみましょう。
今日の「これでOK」を見つけ、自分を褒めるワーク
完璧主義を手放し、多忙な日でも心穏やかに過ごすためには、「完璧な完了」を目指すのではなく、「今日の『これでOK』ライン」を設定し、それを達成したら自分を認めて褒める習慣を身につけることが有効です。以下に、具体的なワークをいくつかご紹介します。
ワーク1:タスクの「ミニマムライン」を設定する
大きなタスクを目の前にすると、「全部やらなきゃ」と考えてしまいがちです。しかし、一度に完璧を目指すのではなく、「今日、これだけは最低限やろう」という「ミニマムライン」を設定してみましょう。
実践ステップ:
- 今日のタスクリスト(仕事、家事、育児関連など)を書き出します。
- それぞれのタスクに対し、「最低限、これだけは完了させる」という具体的な目標を一つ設定します。
- 例:夕食の準備 -> 「主菜だけは作る」
- 例:洗濯 -> 「洗濯機を回して干すまで」
- 例:資料作成 -> 「冒頭部分を書き始める」
- このミニマムラインを意識してタスクに取り組みます。
- ミニマムラインをクリアしたら、「今日のこれでOK」と意識的に区切りをつけます。
このワークは、タスクのハードルを下げ、「何もできなかった」という感覚を防ぎ、小さな成功体験を積み重ねる手助けとなります。
ワーク2:完了の定義を「量」から「区切り」に変える練習
完璧主義の人は、「タスクの質」や「全てをやり終えること」に完了の定義を置きがちです。これを「区切りをつけたこと」に価値を置くように意識を変えてみましょう。
実践ステップ:
- タスクの途中で、「これで今日の分は終わりにしよう」と意識的に区切りをつける練習をします。まだ完璧でなくても、少しでも進んだら「今日の作業はここまで」と決めます。
- 区切りをつけた後、「はい、これで今日の分はOK」と心の中で唱えたり、メモに残したりします。
- 「まだ終わっていない部分」ではなく、「今日ここまで進んだ」という事実に意識を向けます。
- もし可能であれば、翌日の最初のタスクとして「残りの部分を再開する」と計画に組み込みます。
このワークは、「完璧でなくても終わっていい」という自分への許可を与え、「やりきれなかった」という罪悪感を減らすことにつながります。
ワーク3:「今日の『これでOK』」を見つける振り返り
一日の終わりに、今日自分が「これでOK」とできたこと、設定したミニマムラインをクリアしたこと、少しでも前進できたことを見つける時間を持ちます。
実践ステップ:
- 一日の終わりに数分間、静かな時間を作ります。(寝る前や、家族が寝静まった後など)
- 今日取り組んだタスクや出来事を思い出します。
- その中で、「これは完璧ではなかったけれど、今日の自分としてはこれでOKだったな」と思える点を探します。大小は問いません。
- 例:「夕食は簡単メニューだったけれど、家族みんなで食べられたからOK」
- 例:「仕事のあの部分は全部終えられなかったけれど、ここまで進められたからOK」
- 例:「子どもと公園に行けなかったけれど、家で笑顔で遊べた時間があったからOK」
- 見つけた「今日のこれでOK」を心の中で認めたり、手帳などに書き出したりします。
この振り返りを行うことで、「できなかったこと」にばかり目を向けがちな完璧主義の傾向を和らげ、「できたこと」「OKだったこと」に意識を向ける練習になります。
ワーク4:達成した「自分」を具体的に褒める
「今日のこれでOK」を見つけたら、次はそれを達成した自分を具体的に褒めてあげましょう。
実践ステップ:
- ワーク3で見つけた「今日のこれでOK」な点に対し、心の中で自分に肯定的な言葉をかけます。
- 例:「主菜だけだったけど、ちゃんと夕食作った私、えらい!」
- 例:「疲れてたのに、ここまで仕事を進められてすごい!」
- 例:「大変だったけど、よく乗り越えたね!」
- もし可能であれば、小さな「ご褒美」を自分に与えます。
- 例:温かい飲み物をゆっくり飲む
- 例:好きな音楽を数分だけ聴く
- 例:短い時間でも好きな本を読む
- 例:香りの良いハンドクリームを塗る
- 「よく頑張ったね」「お疲れ様」と、自分自身に優しく語りかけます。
自分を褒めることは、決して甘やかすことではありません。頑張った自分を認め、労わる大切な行為です。小さな肯定的な声かけやご褒美が、自己肯定感を育み、次の日への活力につながります。
ワークを続ける上でのヒントと心構え
これらのワークは、一度行っただけですぐに効果が現れるものではありません。完璧主義を手放す道のりは、時に立ち止まったり、後戻りしたりすることもあります。大切なのは、完璧にワークをこなすことではなく、「少しでも試してみよう」という姿勢です。
- できなかった日があってもOK: 「今日はワークをする余裕がなかった」という日があっても、自分を責めないでください。「そういう日もある」と受け流し、またできるときに試せば大丈夫です。
- 小さな一歩から: 全てのワークを一度に試す必要はありません。まずはミニマムラインの設定や、寝る前の振り返りなど、一つだけを選んで数日続けてみましょう。
- 記録をつけてみる: 手帳やノートに「今日のOK」を簡単に書き出してみると、自分が「できたこと」を視覚的に確認でき、達成感を感じやすくなります。
「これでOK」は、不完全さの中に見つける幸せ
完璧主義を手放し、「今日のこれでOK」を見つけることは、手を抜くことではありません。それは、限られた時間やエネルギーの中で、自分ができることの「最適なライン」を見つけ、その努力や結果を自分自身が認め、労わるための大切なプロセスです。
不完全な日常の中にこそ、私たちは小さな幸せや達成感を見出すことができます。完璧を求めすぎて自分を追い詰めるのではなく、「今日の私はこれでOK」と自分に優しい評価を与えてみましょう。そうすることで、心にゆとりが生まれ、多忙な毎日でも心穏やかに過ごすことができるはずです。
まずは、今日、一つでも「これでOK」なことを見つけ、頑張った自分を褒めてみてください。その小さな一歩が、完璧主義を手放し、心軽やかに生きるための大きな変化につながるはずです。