完璧主義さんが「抱え込み」を手放す。もっと人に頼って心地よく過ごすワーク
「すべてを一人で抱え込んでいませんか?」完璧主義さんの心の負担を軽くするヒント
仕事も家事も育児も、「どうせ自分がやった方が早い」「人に頼むのは申し訳ない」「完璧に仕上げるには自分でやるしかない」と、ついつい一人で抱え込んでしまうことはありませんか。すべてを完璧にこなそうと頑張るあなたは素晴らしいですが、その頑張りが自分自身を追い詰め、心身の疲弊に繋がっているかもしれません。
完璧主義の傾向が強い方は、人に頼ることが苦手だと感じているケースが多く見受けられます。誰かに頼むことで、自分の能力が低く見られるのではないか、相手に迷惑をかけてしまうのではないか、自分が意図した通りに仕上がらないのではないか、といった様々な不安や懸念が頭をよぎるかもしれません。
しかし、すべてを一人で抱え込む必要はありません。周囲に助けを求め、協力を得ることは、決して弱さではなく、むしろ状況をより良く進めるための賢明な方法です。今回は、完璧主義を手放し、もっと気軽に人に頼ることができるようになるための具体的な思考や行動のワークをご紹介します。
なぜ「抱え込み」が完璧主義さんを疲れさせるのか
完璧主義の根底には、「完璧でなければ価値がない」「失敗は許されない」といった強い思い込みがあることがあります。この思い込みがあると、タスクを他人に任せることに抵抗を感じやすくなります。
- 自分でやった方が確実: 他人に任せると、自分の基準通りに仕上がらないのではないかという不安から、結局自分でやってしまう。
- 迷惑をかけたくない: 頼むことで相手に負担をかけることを過度に心配してしまう。
- 能力がないと思われたくない: 「これくらい自分でできて当然」と考え、助けを求めることを恥ずかしいと感じてしまう。
- コントロールを手放すのが怖い: 自分で全てを管理できない状況に不安を感じる。
こうした心理が働き、「自分でやった方が早いし確実」という考えに至り、結果としてすべてのタスクを一人で抱え込み、時間にも心にも余裕がなくなり疲弊してしまうのです。
人に頼ることで得られるもの
人に頼ることは、単にタスクを分散させる以上のメリットがあります。
- 負担の軽減と時間の創出: 物理的なタスクや精神的な負担が減り、自分の時間や休息の時間を確保しやすくなります。
- 新しい視点と協力関係: 他の人のやり方を知ることで、新しい発見があったり、より良い方法が見つかることがあります。また、頼ったり頼られたりすることで、周囲との信頼関係や協力関係が深まります。
- 完璧でなくても「これでOK」を学ぶ機会: 人に任せた結果が100点満点でない場合でも、「完了した」という事実に焦点を当てる練習になります。完璧でなくても物事が進むことを体験することで、自分自身の基準を緩めるきっかけになります。
完璧主義を手放すための「人に頼る」ワーク
いきなり大きなタスクを任せるのはハードルが高いかもしれません。まずは小さな一歩から始めてみましょう。
ワーク1:頼りたいことリスト&「小さく頼む」練習
ステップ1:頼みたいタスクを書き出す 仕事、家事、育児など、日々のタスクの中で「もし誰かに頼めたら楽なのに」と思うことを、大小問わず書き出してみましょう。 例: * 夕食後の食器洗い * 子供の幼稚園の持ち物準備 * 郵便ポストの確認 * 簡単な資料のコピー * スーパーで特定の調味料を買ってきてもらう
ステップ2:最も「小さく頼めそうな」タスクを選ぶ 書き出したリストの中から、最も頼みやすく、たとえ期待通りでなくても大きな影響がないような「小さなタスク」を一つ選んでみましょう。
ステップ3:頼む相手と具体的な頼み方を考える 選んだタスクを誰に頼むか考えます(配偶者、子供、職場の同僚など)。そして、どのように頼むかを具体的にイメージします。「〇〇をしてくれると助かります」「〇〇をお願いできますか」のように、感謝の言葉と合わせて伝える準備をします。
ステップ4:実際に頼んでみる 勇気を出して、選んだ小さなタスクを相手に頼んでみましょう。頼む前には少し緊張するかもしれませんが、大丈夫です。
ステップ5:結果を受け止める 頼んだ結果がどうであれ、まずは頼むことができた自分を認めましょう。もし相手が引き受けてくれたら、感謝の気持ちを伝えます。もし断られたとしても、それはあなたが否定されたわけではなく、相手の状況によるものだと理解しましょう。うまくいかなかった点があれば、次回の参考にします。
この「小さく頼む」練習を繰り返すことで、人に頼ることへの心理的な抵抗を少しずつ減らしていくことができます。
ワーク2:「お互い様」意識を育む
自分が人に頼むことをスムーズにするためには、自分もまた誰かに頼られる存在であるという意識を持つことも大切です。
ステップ1:誰かから頼まれたことを思い出してみる 過去にあなたが誰かから何かを頼まれ、それに応えたときのことを思い出してみましょう。そのとき、あなたは相手に対してどう感じましたか。多くの場合、「役に立てて嬉しい」「大したことないよ」のように感じたのではないでしょうか。頼む側が心配しているほど、頼まれた側は負担に感じていないケースも多いのです。
ステップ2:「助け合いマップ」をイメージする 自分一人で全てをこなすのではなく、家族や職場の同僚、友人など、身近な人々との間でタスクや困りごとを助け合っている様子を想像してみましょう。自分だけが一方的に頼るのではなく、お互いに支え合っている関係性をイメージすることで、「頼むことは迷惑」という考え方を和らげることができます。
ステップ3:誰かから小さな頼まれごとを積極的に引き受けてみる もし機会があれば、簡単な頼まれごとを快く引き受けてみましょう。誰かの役に立つ経験をすることで、「自分も誰かに頼っても大丈夫だ」という安心感に繋がります。
ワーク3:頼んだ結果の「これでOK」基準
人に頼むことの難しさの一つは、自分がイメージした通りに仕上がらない可能性があることです。ここで完璧主義を手放し、「これでOK」の基準を持つことが重要になります。
ステップ1:「完了した」事実に焦点を当てる 誰かにタスクをお願いし、それが完了したとき、まず「完了した」という事実に感謝しましょう。完璧でなくても、タスクは進みました。
ステップ2:良かった点を見つける たとえ修正が必要な部分があったとしても、何か一つは良かった点や助かった点があるはずです。そこに意識的に目を向けましょう。「ありがとう、おかげで〇〇が進んだよ」「ここをやってくれて助かったわ」のように具体的に感謝を伝えます。
ステップ3:必要なフィードバックは建設的に もし、どうしても修正が必要な場合でも、「なぜこれができないの」と責めるのではなく、「ここをこのようにしてもらえるともっと助かります」のように、今後のために建設的な伝え方を心がけましょう。相手の努力を認めつつ、改善点を伝える姿勢が、お互いにとって良い関係を築きます。
実践する上でのヒントと継続のために
- 一度で完璧を目指さない: 人に頼るスキルも練習が必要です。最初はうまくいかなくても落ち込まず、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。
- 感謝の気持ちを伝える: 頼んだ相手には必ず感謝を伝えましょう。感謝されることで、相手もまた協力したいという気持ちになります。
- 「これは人に頼んでも大丈夫」というタスクリストを作る: 繰り返し頼めるようなタスクや、人に任せやすいタスクのリストを作っておくと、いざというときにスムーズに頼みやすくなります。
- 自分自身の休息を優先する: 人に頼る目的は、あなたが休息し、心穏やかに過ごす時間を作ることです。罪悪感を感じず、得られた時間を自分のために使いましょう。
抱え込みを手放し、心地よい毎日へ
すべてを完璧に、一人でこなすことは不可能であり、長期的に見ればあなた自身をすり減らしてしまいます。人に頼ることは、決して手抜きではありません。むしろ、自分自身のキャパシティを理解し、より効率的かつ持続可能な方法で物事を進めるための大切なスキルです。
周囲との協力は、完璧な結果を目指すことよりも、心穏やかに、そして皆で協力して「これでOK」という状態を目指すことの価値を教えてくれます。一人で抱え込む重荷を下ろし、もっと周りに頼ってみることで、あなたの心にゆとりが生まれ、日常がより心地よいものになるはずです。まずは今日、リストアップした「小さく頼めること」を一つ、試してみてはいかがでしょうか。