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「~ねばならない」を手放すヒント。自分を追い詰める思考パターンをゆるめる3つのワーク

Tags: 完璧主義, 思考パターン, セルフケア, 自分を責める, 自己肯定感

「~ねばならない」という声に疲れていませんか

仕事に、家事に、育児に、毎日を全力で駆け抜けている中で、「完璧にやらなければ」「ちゃんとしなければ」という声に心当たりはありませんか。気づかないうちに、「~ねばならない」「~であるべき」という思考パターンにとらわれ、自分自身を追い詰めてしまうことがあります。

目の前のことをすべて完璧にこなそうと奮闘するほど、時間にも心にも余裕がなくなり、少しでもうまくいかないと「なぜできないのだろう」と自己嫌悪に陥ってしまうかもしれません。誰かの期待に応えなければ、周りからどう見られるか気になる、そんな思いが、あなたをさらに疲れさせているのではないでしょうか。

こうした「~ねばならない」という思考は、無意識のうちに私たちの中に根付き、柔軟なものの見方や行動を妨げることがあります。そして、自分に厳しくなりすぎて、本来の力や、ありのままの自分を否定してしまうことにつながります。

でも、安心してください。その思考パターンに気づき、少しずつゆるめていくことは可能です。この記事では、自分を追い詰める「~ねばならない」という思考を手放し、心穏やかに日常を送るための具体的なワークを3つご紹介します。どれも、忙しい日々の中でも無理なく試せる小さな一歩となるでしょう。

あなたの「~ねばならない」思考に気づくワーク

完璧主義をゆるめる第一歩は、まず自分の中にどんな「~ねばならない」があるのかに気づくことです。私たちは普段、あまりにも当たり前のようにその思考を使っているため、それが自分を縛っていることに気づきにくいものです。

ワーク1:あなたの「~ねばならない」を見つけよう

やり方

  1. 小さめのノートやメモ帳、スマートフォンのメモ機能など、手軽に使えるものを用意します。
  2. 日常生活の中で「疲れたな」「なんで私だけこんなに大変なんだろう」「うまくいかないな」と感じた時や、何かをしようと思った時に「~ねばならない」という言葉が頭に浮かんだら、その時の状況と、心に浮かんだ「~ねばならない」という思考を書き留めてみます。
    • 例:「夕食は手作りのおかずを3品作らねばならない(子供のために)」
    • 例:「部屋は常にきれいに片付いていなければならない(来客があるかもしれないから)」
    • 例:「仕事のメールは〇時間以内に返信しなければならない(デキる人だと思われるために)」
    • 例:「子供の些細なことでも完璧に対応しなければならない(良い母親であるために)」
  3. 1日に1つでも、数日に1つでも構いません。まずは数を目標にせず、気づいた時に気軽にメモする習慣をつけてみましょう。
  4. しばらく続けてみると、自分の中に繰り返される特定のパターンや、特定の状況で「~ねばならない」が強く浮かびやすいことに気づくかもしれません。

このワークの効果

頭の中で漠然と考えているだけでは気づきにくい「~ねばならない」という思考を、外に出して客観的に見ることができます。自分がどんな「ルール」に縛られているのかを知ることで、次のステップに進む準備ができます。

実践のポイント

書き出すこと自体を完璧にやろうとしないことです。「うまく書けない」「全部見つけられるか不安」と思う必要はありません。あくまで、あなたの心の中を「ちょっと覗いてみる」くらいの軽い気持ちで始めてみてください。通勤中や家事の休憩時間など、短いスキマ時間を利用するのもおすすめです。

「~ねばならない」をゆるめる言い換えワーク

自分の中にある「~ねばならない」が見えてきたら、次はそれを少しずつゆるめていく練習をします。思考のパターンは長年の習慣なので、すぐに変えるのは難しいかもしれませんが、言葉を変えることから始めてみましょう。

ワーク2:「~ねばならない」を「~でも大丈夫」に変えてみよう

やり方

  1. ワーク1で見つけたあなたの「~ねばならない」リストの中から、一つを選んでみてください。
  2. その思考を、もっと自分に優しく、柔軟な表現に言い換えてみます。例えば、「~ねばならない」を「~できたらいいな」「~でも大丈夫」「完璧じゃなくてもOK」「~することもできる」といった言葉に置き換えてみます。
    • 例:「夕食は手作りのおかずを3品作らねばならない」→「今日の夕食は手作りでなくても、お惣菜を使っても大丈夫」
    • 例:「部屋は常にきれいに片付いていなければならない」→「完璧に片付いていなくても、過ごせるくらいで大丈夫」
    • 例:「仕事のメールは〇時間以内に返信しなければならない」→「すぐに返信できなくても、できる時に対応すれば大丈夫」
    • 例:「子供に常に笑顔でいなければならない」→「疲れているときは無理に笑わなくても大丈夫。ありのままの自分で大丈夫」
  3. 心の中でつぶやく、書き出してみる、声に出してみるなど、やりやすい方法でこの「ゆるめる言葉」を使ってみてください。

このワークの効果

「~ねばならない」という硬い思考を、より柔軟なものに変えることで、心の負担を軽減し、選択肢があることに気づけます。言葉を変えるだけでも、捉え方が変わり、少し心が楽になるのを感じられるかもしれません。

実践のポイント

最初はこの新しい言葉を心から信じられないかもしれません。「でもやっぱり、~ねばならないと思ってしまう」と感じても大丈夫です。これは練習です。まずは言葉として置き換えることから始め、繰り返し使ってみることで、少しずつ新しい思考パターンをなじませていきます。すぐに完璧を目指す必要はありません。

自分の中の「優しい友人」になるワーク

完璧主義の人は、自分自身にとても厳しい評価を下しがちです。何か失敗したり、思い通りにいかなかったりすると、「だから自分はダメなんだ」と強く責めてしまうことがあります。そんな時こそ、自分に優しく語りかける練習が必要です。

ワーク3:もし、親しい友人が同じ状況だったら?

やり方

  1. 何かうまくいかなかったり、自分を責めてしまったりする状況を思い浮かべてみてください。
  2. その状況で、もし親しい友人があなたと全く同じ失敗をしたり、同じように自分を責めていたりしたら、あなたはどんな言葉をかけますか?
  3. 友人に語りかけるのと同じ、温かく、理解があり、優しい言葉を、今度は自分自身に向けて語りかけてみてください。
    • 例:仕事でミスをして落ち込んでいる自分に対して → 「大丈夫だよ、誰にだって失敗はあるよ。いつも頑張っているのを知っているからね。今回は残念だったけど、これからどうするかを考えよう。自分を責めすぎないでね。」
    • 例:家事が全然終わらずに焦っている自分に対して → 「すごい、今日もこんなにたくさんのことをやっているんだね。全部完璧にできなくても大丈夫だよ。今日はこれだけできた、って自分を褒めてあげていいんだよ。疲れたら休んでね。」
  4. 心の中で優しくつぶやくだけでも良いですし、もし一人になれるなら、実際に声に出してみるのも効果的です。自分自身を抱きしめるように、優しく体に触れながら行っても良いでしょう。

このワークの効果

自分を責める厳しい声から距離を置き、自分自身に共感し、労わる「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」を育むことができます。自分の味方になる練習をすることで、自己肯定感を高め、困難な状況もしなやかに乗り越える力が養われます。

実践のポイント

最初は少し照れくさく感じるかもしれません。しかし、これは自分を大切にするための大切な練習です。完璧な言葉を探す必要はありません。心からの温かさ、優しさを込めることを意識してみてください。毎日寝る前や、少し落ち込んだ時に思い出すように行うと良いでしょう。

完璧を手放したその先に

これらのワークは、完璧主義を「治す」ためのものではなく、あなたが自分自身ともっと穏やかに付き合っていくための練習です。「~ねばならない」を手放すことは、決して手を抜いたり、努力をやめたりすることではありません。それは、自分を不必要に追い詰めるのをやめて、ありのままの自分や、できること・できたことに目を向け、自分を労わる選択をすることです。

忙しい日常の中で、これらのワークをすべて完璧にこなそうと思わないでください。一つでも、ほんの少しの時間でも良いのです。気づいた時に試してみる、それだけでも大きな変化の始まりとなります。

完璧主義を手放し、「これでOK」と自分に許可を与える勇気を持つことは、心にゆとりを生み、日々の小さな幸せに気づくきっかけを与えてくれます。自分自身に優しくなることを通して、あなたの心がより穏やかで満たされたものになることを願っています。