朝のバタバタをこれでOKに。忙しい朝に「小さなできた」を見つけるワーク
朝のバタバタ、完璧を目指して心も体も疲れていませんか
朝、目が覚めた瞬間から、時間に追われる感覚に襲われる。子どもを起こし、朝食を用意し、身支度を整え、家事をこなし、仕事へ向かう準備をする。すべてを時間内に、しかも「完璧に」こなそうとすると、焦りやイライラが募り、自己嫌悪に陥ることも少なくないかもしれません。
朝の時間はただでさえ慌ただしいものです。その中で「あれもこれも完璧にやらなければ」という思考にとらわれると、心に余裕がなくなり、ちょっとしたことが気になって自分を責めてしまったり、家族にきつく当たってしまったりすることもあるのではないでしょうか。
この疲弊感は、「すべてを完璧にコントロールしたい」という完璧主義の傾向から生まれることがあります。しかし、予測不能な出来事が多い朝の時間において、完璧を目指すことは現実的ではなく、むしろ自分を苦しめる原因となってしまいます。
この記事では、忙しい朝の時間において完璧主義を手放し、心穏やかに一日をスタートさせるための具体的な「小さなできた」を見つけるワークをご紹介します。
なぜ「小さなできた」に目を向けることが大切なのか
完璧主義の思考は、常に「できていないこと」「足りないこと」に目が向きがちです。特に朝のような時間がない状況では、「あれも終わらなかった」「これもちゃんとできなかった」といった「不足」に意識が集中し、自己肯定感が下がりやすくなります。
ここで視点を変え、「できたこと」に意図的に目を向ける練習をすることで、自分自身の頑張りや努力を認めやすくなります。たとえ小さなことでも、「これもできた」「あれも完了した」と積み重ねることで、自信を取り戻し、肯定的な気持ちで一日を始めることができるようになります。
これは、心理学でいう「ポジティブな側面に焦点を当てる」練習です。ネガティブな感情や出来事ばかりに気を取られるのではなく、意図的に良い面に目を向けることで、心の状態をより安定させることができます。
忙しい朝に試したい「小さなできた」を見つけるワーク
では、具体的にどのようなワークを朝の忙しい時間に取り入れることができるでしょうか。どれもすぐに始められる小さなステップばかりです。
ワーク1:心の中で「できたこと」を数える習慣
朝の準備や家事、育児の合間に、心の中で「〇〇ができた」「△△を終わらせた」と唱えてみましょう。リストアップする時間がない朝だからこそ、頭の中で完了したタスクを一つずつ確認するだけでも効果があります。
- 例:「顔を洗えた」「着替えられた」「子どもの朝食を用意できた」「ゴミを出せた」「鍵を閉めた」など。
どんなに小さなことでも構いません。「完璧にメイクできなかった」という「できなかったこと」に目を向けるのではなく、「最低限の身だしなみは整えられた」という「できたこと」に焦点を当てるのです。これを意識的に繰り返すことで、自然と「できたこと」に目が向くようになります。
ワーク2:「今日のOKライン」を設定する
朝始める前に、「今日、これだけはやろう(できたらOKとしよう)」という最低限のラインを一つか二つ決めてみましょう。
- 例:「自分の顔を洗う」「子どもに朝食を食べさせる」「忘れ物をしないように戸締まりを確認する」など。
これらがクリアできたら、もう今日の朝は10点満点、いや100点満点です!もしそれ以上に何か(洗濯物を畳めた、床を拭けたなど)ができたら、それはボーナス点として捉えましょう。この「OKライン」を設定することで、完璧にできなかったことに対する失望感を減らし、「最低限はできた」という安心感を得やすくなります。毎日完璧なOKラインを目指す必要はありません。その日の自分の体力や気分に合わせてラインを調整する柔軟性も大切です。
ワーク3:「完璧でなくてもよかったこと」を振り返る練習
一日を終えた夜や、少し落ち着いた週末などに、今日の朝を振り返ってみましょう。「あの時、完璧にできなくて落ち込んだけど、結局大丈夫だったな」という出来事を思い出してみる練習です。
- 例:「朝食が少し焦げたけど、家族は文句を言わずに食べてくれた」「子どもの服のボタンを一つかけ間違えたまま登園させたけど、誰も気にしなかった」「メイクが手抜きになったけど、仕事で困ることはなかった」など。
完璧を目指さなくても、意外と物事は滞りなく進むことが多いものです。この振り返りを通して、「完璧は必須ではない」「少しぐらい不完全でも大丈夫」ということを体感的に学んでいきます。これは、完璧主義を手放す上で非常に重要な気づきとなります。
ワーク4:自分への優しい声かけを取り入れる
朝、「ああ、今日も全然ダメだった」と感じそうになったら、そこでストップして、自分に優しい言葉をかけてみましょう。
- 例:「忙しいのに、これだけ頑張った」「毎日よくやっているよ」「少しでも前に進めたね」など。
まるで親しい友人や大切な人に語りかけるように、自分自身に労いと肯定の言葉を贈ります。「これでOKだよ」「今日のあなたもよく頑張った」と、不完全な自分も丸ごと受け入れる練習です。最初は不慣れかもしれませんが、繰り返すうちに自己肯定感を高める力強い習慣になります。
実践する上でのヒントと継続のために
これらのワークは、毎日完璧にこなす必要はありません。疲れている日やどうしても余裕がない日は、「ワークをやることも完璧に目指さなくていい」と許可を出してください。
まずは一つ、興味を持ったワークから試してみましょう。そして、最初はほんの小さな「できた」に目を向けることから始めてください。例えば「朝起きて水を飲めた」というレベルでも十分です。
もし、ワークを試してみても「やっぱりダメだ」と感じてしまったとしても、自分を責めないでください。「ワークができなかった自分もOK」と受け止め、また明日やれそうな時に試してみる。この柔軟な姿勢こそが、完璧主義を手放す鍵となります。
完璧主義を手放すことは、決して「手抜きをする」「怠ける」ということではありません。自分自身の心と体の健康を守りながら、より建設的で穏やかな方法で日常を過ごしていくための選択です。
完璧主義を手放し、心穏やかな朝を迎えるために
忙しい毎日の中で、朝の時間を心穏やかに過ごすことは、一日全体の質を高めることにつながります。「完璧にしなければ」というプレッシャーから解放され、「これでOK」と自分を認める練習を重ねることで、心にゆとりが生まれます。
今回ご紹介した「小さなできた」を見つけるワークは、特別な時間や場所を必要としません。日々の生活の中で、意識を少し変えるだけで実践できます。
完璧主義を手放す旅は、一歩ずつ、ゆっくりと進んでいくものです。焦らず、根気強く、そして何よりも自分自身に優しく接してください。不完全な自分も、不完全な朝も、「これでOK」と受け入れる勇気を持つことが、心穏やかな日々への第一歩となるでしょう。
自分を責める癖を手放し、「できたこと」に目を向ける習慣を育んでいきましょう。あなたの毎日が、少しでも心穏やかなものになることを願っています。