「完璧でなくていい」を練習。日常の基準を見直す3つのワーク
いつも「完璧」を目指して疲れていませんか
仕事に家事に育児と、日々時間に追われながら、ついついすべてをきちんとこなそうと頑張ってしまう。気がつけばクタクタで、少しでも思い通りにならないことがあると自分を責めてしまう。そんなサイクルの中で、「もう疲れたな」「どうしたら楽になるんだろう」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
完璧を目指す気持ちは、物事を丁寧に進めたい、責任を果たしたいという素晴らしい気持ちの表れです。ですが、その完璧さのハードルが高すぎると、常に緊張状態が続き、心身の疲弊に繋がってしまいます。特に、やることがたくさんある中で「すべて100点満点」を目指すのは、現実的に非常に難しく、自己否定感を招きやすくなります。
完璧主義を手放すことは、「いい加減になること」ではありません。自分にとって本当に大切なことを見極め、力の配分を調整し、心穏やかに日々を送るための大切な一歩です。
ここでは、「完璧でなくても大丈夫なんだ」と自分に許可を出し、肩の荷を下ろすための具体的なワークをいくつかご紹介します。
ワーク1:あなたの「完璧基準」を書き出してみましょう
まず、あなたが普段、無意識のうちに「完璧」だと思っている基準を具体的にしてみましょう。
ステップ1:場面ごとに「完璧な状態」を書き出す
家事、仕事、育児など、あなたが「こうあるべき」「こうしなくては」と感じている場面をいくつか選び、それぞれについて「完璧な状態」とはどのようなものか書き出してみてください。
- 例:
- 家事(料理): 毎食栄養バランス満点の献立で、手作りのおかずを3品以上用意する。洗い物は食後すぐに終わらせ、キッチンには何も置きっぱなしにしない。
- 家事(片付け): 部屋は常に整理整頓されており、ホコリ一つない状態を保つ。来客があってもいつでも慌てない。
- 仕事: 頼まれた仕事は期待以上の成果を出し、期日より早く提出する。メールの返信はすぐに、丁寧な言葉遣いで行う。
- 育児: 子供とは常に笑顔で接し、知育にも力を入れる。手作りの園グッズを用意する。
ステップ2:その基準は誰のものか、本当に必要か問う
書き出した「完璧な状態」について、以下の点を考えてみましょう。
- その基準は、本当にあなたが心から望んでいるものですか。それとも、誰か(親、パートナー、友人、SNSなど)の評価を気にしていたり、社会的なイメージに囚われていたりしませんか。
- その基準を達成するために、どれくらいの時間と労力がかかっていますか。
- その基準を少し下げても、何か大きな問題が起こるでしょうか。
このワークを通して、あなたがどれほど高いハードルを自分に課していたかに気づくことができます。
ワーク2:「〇〇点でOK」の基準を設定してみる
完璧を目指すのではなく、「これくらいでOK」という合格ラインを設定してみましょう。
ステップ1:完璧基準を「点数」で評価する
ワーク1で書き出したそれぞれの「完璧な状態」を100点としたとき、今のあなたが目指しているのは何点くらいでしょうか。そして、それを少し下げた「70点」「60点」の状態とはどのようなものか具体的に想像してみましょう。
- 例:
- 家事(料理): 100点=毎日手作り3品。70点=週に何回かは惣菜や冷凍食品を利用する。1品減らす。
- 家事(片付け): 100点=常に完璧な状態。60点=「人が来ても最低限困らない」程度に片付いていればOKとする。見えない場所は多少散らかっていても気にしない。
- 仕事: 100点=期待以上の成果。80点=期日までに求められているレベルで終わらせる。
- 育児: 100点=すべて手作り、常に笑顔。70点=市販品も活用する。疲れているときは無理に笑顔を作ろうとしない。
ステップ2:「〇〇点でOK」を意識して行動する
設定した「〇〇点でOK」という基準を意識して、実際に行動してみましょう。最初は抵抗があるかもしれませんが、「今日は70点でいい」「これくらいで十分」と自分に言い聞かせながら試してみてください。
このワークは、「これだけやれば大丈夫」という安心感を与え、無限に続くかと思われたタスクに区切りをつける助けになります。
ワーク3:「これでOK」を見つけて自分を労う練習
完璧主義の人は、できたことよりも「できなかったこと」や「もっとできたはずのこと」に目が行きがちです。意識的に「できたこと」や「これで十分」な点に目を向け、自分を労う練習をしましょう。
ステップ1:今日「これでOK」だったことを見つける
一日の終わりに、今日できたことや、「まあ、これでOK」と思える点を探してみましょう。どんなに小さなことでも構いません。
- 例:
- 「今日の夕食は2品だったけど、家族は美味しいと言ってくれたからOK」
- 「仕事で少しミスしたけれど、すぐに修正できたからOK」
- 「子供の寝かしつけに時間がかかったけど、絵本は読んであげられたからOK」
- 「部屋は完璧じゃないけど、床に物が散らかってないからOK」
ステップ2:心の中で「これでOK」と唱える
「もっとああすればよかった」「まだこれもできていない」という考えが浮かんできたら、意識的に「いや、これでOK」「私はよくやった」と心の中で唱えてみましょう。
最初はこの言葉に実感がこもらないかもしれませんが、繰り返し練習することで、少しずつ自分を肯定的に捉えられるようになります。
小さな一歩から、自分に優しく
これらのワークを実践する中で、「本当にこれで大丈夫かな」「もっと頑張らなきゃ」という不安や罪悪感が湧いてくることがあるかもしれません。それは、あなたが長い間完璧を目指して頑張ってきた証拠です。
大切なのは、すぐに完璧主義を完全に手放そうとしないことです。まずは一つの家事や仕事、育児の場面で、ほんの少しだけ基準を下げてみることから始めてみてください。そして、その結果、自分にどんな変化があったかを感じてみましょう。少し時間ができたり、心にゆとりが生まれたりすることに気づくはずです。
完璧でなくても、あなたは十分に頑張っています。自分を許し、労わる時間を持つことは、決して怠慢ではなく、あなたが心身ともに健康で、より穏やかに過ごすために必要なことです。「これでOK」を練習して、自分に優しい毎日を送りましょう。