完璧主義さんは「やらないこと」リストを作って身軽に。時間と心に余白を作るワーク
「全部完璧に」はもう手放しませんか?「時間がないのに、完璧にしたい」葛藤を抱えるあなたへ
仕事、家事、育児。毎日、たくさんのタスクを抱え、それぞれの場面で「ちゃんと完璧にやらなきゃ」と自分を追い詰めていませんか。あれもこれもと頑張るうちに時間はあっという間に過ぎ、思うようにできなかった自分を責めてしまう。心にゆとりがなく、いつも時間に追われているような感覚。そんな状況に、心当たりがあるかもしれません。
完璧を目指すことは、時に素晴らしい結果につながります。しかし、すべてを完璧にこなそうとすると、心身が疲れ果ててしまうことがあります。特に、時間や体力に限りがある中で「すべてを完璧に」は現実的ではありません。
ここで考えてみたいのは、「全部やらなくても大丈夫」ということです。そして、「やらないこと」を決めることが、心と時間にゆとりを生み出すための大切な一歩になるということです。
なぜ「やらないこと」リストが、完璧主義を手放すのに役立つのか
完璧主義の方は、ついつい自分に高い基準を設け、課せられるタスクを増やしてしまいがちです。頼まれごとを断れなかったり、誰かのためにと余計なことまで引き受けてしまったり。また、「これくらいは当然やるべき」という内なる声に突き動かされて、本来はやらなくても良いことまでタスクに加えてしまうこともあります。
目の前のタスクを減らさずに、完璧を目指し続けることは、無限ループのようなものです。しかし、あえて「やらないこと」を意識的に決めることで、物理的にタスクを減らすことができます。これは、時間的なゆとりを生むだけでなく、「やらなくてもいい」という許可を自分に与えることにつながり、精神的な負担を大きく減らしてくれるのです。
「やらないこと」リストは、頑張りすぎている自分を労り、本当に大切なことに時間とエネルギーを使うための羅針盤のようなものです。
心と時間に余白を作る「やらないこと」リスト作成ワーク
ここでは、忙しい毎日でも無理なく実践できる「やらないこと」リストの作り方をご紹介します。
ステップ1:現状のタスクを書き出してみる
まずは、あなたが普段「やらなきゃ」と思っていること、実際にやっていることを、思いつく限り書き出してみましょう。仕事のこと、家事のこと(料理、掃除、洗濯、買い物など)、育児のこと(送迎、宿題チェック、遊び相手など)、地域や学校のこと、自分のこと(連絡、手続きなど)など、細かいことでも構いません。リストアップする際は、完璧に漏れなく書こうとせず、「こんなものかな」という気持ちで気軽に書き出してみてください。
例: * 仕事のメールは送られてきたらすぐに返信する * 夕食は毎日3品以上手作りする * 子どもの靴下は毎日洗ってきれいに揃える * SNSは毎日チェックして「いいね」やコメントをする * トイレ掃除は週に3回、隅々まできれいにする * スーパーのセール情報を細かくチェックする * 借りた本は期日より前に必ず返す
ステップ2:「やらなくても本当に困らないこと」を見つける基準を考える
書き出したタスクの中から、「これは、もしかしたらやらなくても大丈夫かも?」と思えるものを見つけるための基準を考えてみましょう。以下の問いを参考にしてみてください。
- 「もしこれをやらなかったら、具体的に誰が、どんな風に困るだろうか?」
- 「これは、私自身が「完璧にしたい」と思っているだけで、周りはそれほど気にしていないことではないか?」
- 「これは、誰か他の人に任せても良いことではないか?」
- 「これは、頻度や質を少し下げても大丈夫ではないか?(例:毎日→3日に一度、手作り→惣菜も活用)」
- 「これは、過去の習慣で惰性でやっているだけで、今の自分にとって本当に必要か?」
ステップ3:「やらないこと」候補をリストアップする
ステップ2で考えた基準をもとに、書き出したタスクの中から「これはもうやめよう」「頻度や質を下げよう」「他の人に頼もう」と思えるものをリストアップしてみましょう。最初は小さなこと、試しにやめてみても影響がなさそうなことから選んでみるのがおすすめです。
例: * 仕事のメールは即レスせず、1日に2回チェックしてまとめて返信する時間を作る * 夕食作りは、週に1~2回はテイクアウトや冷凍食品に頼る * 子どもの靴下は、すぐに洗えず放置しても、次の日に洗えばOKとする * SNSは情報収集ツールとして、目的もなく長時間見るのをやめる * トイレ掃除は、週に1回さっと済ませる程度にする * スーパーのセール情報チェックは、必要なものがあるときだけにする * 借りた本は、期日当日に返せばOKとする
ステップ4:リストを「許可」する
「やらないこと」リストができたら、最も大切なステップです。そのリストにあることを「やらなくても大丈夫」「これでOK」と自分自身に許可を与えてください。最初は「本当にやらなくていいのかな」「手抜きしていると思われないかな」といった不安や罪悪感を感じるかもしれません。しかし、これはあなたが自分自身の心と体を守るために、意識的に選んだ「手放す勇気」の証です。リストを見るたびに、「私は、このリストにあることは、今日の自分にとって『やらない』と決めた。これで大丈夫」と心の中で唱えてみましょう。
ステップ5:リストを見えるところに置く or 意識する
作成した「やらないこと」リストを、スマホのメモ機能に入れたり、紙に書いて目に付く場所に貼ったりして、意識的に確認できるようにすると効果的です。リストを眺めるたびに、「これをやらなくていいから、少し休憩しよう」「この時間で本当にやりたいことをやろう」と、リストによって生まれた余白をポジティブに捉えることができます。
実践する上でのヒントと、罪悪感への向き合い方
- 最初は小さなことから: いきなり大きなタスクをやめるのが難しければ、ほんの些細な「やらないこと」から試してみましょう。例えば、「寝る前に翌日のToDoリストを完璧に作るのをやめる」「朝一番にSNSをチェックするのをやめる」など、ハードルの低いものから始めるのが継続のコツです。
- リストは完璧でなくていい: 「やらないことリストを完璧に作らなきゃ」と、リスト作成そのものに完璧主義を発揮しないように気をつけてください。あくまで、自分を楽にするためのツールです。
- リストは変化するもの: あなたの状況や気持ちは常に変化します。リストの内容も、必要に応じて見直したり、追加したり、削除したりして構いません。これは「手抜き」ではなく、「状況に合わせて柔軟に対応している」ということなのです。
- 罪悪感を感じたら: 「やらないこと」を選んだ自分に罪悪感を感じてしまうときは、「これは自分を大切にするための選択だ」「『やらないこと』を選んだことで、心にゆとりが生まれた」と、リストによって得られたポジティブな面に意識を向けてみましょう。完璧にやろうとして疲弊していた自分と、少し肩の力を抜いた自分、どちらが心穏やかでいられるか、自分に問いかけてみるのも良い方法です。
「やらないこと」を選んで生まれた余白で、自分を労わる
「やらないこと」リストによって生まれた時間や心の余白は、あなた自身のために使いましょう。一杯の温かい飲み物をゆっくり飲む時間、少しだけ好きな本を読む時間、目を閉じて深呼吸する時間。ほんの数分でも構いません。完璧にできなかった自分を責めるのではなく、「これだけはできた」という小さな達成感や、自分を労わる時間を持つことに意識を向けてみてください。
「やらないこと」を決めるのは、決してネガティブなことではありません。それは、限られた時間やエネルギーの中で、本当に大切なもの、自分自身の well-being を優先するという、賢明で勇気ある選択です。
完璧主義を手放し、「やらないこと」を選ぶことで、きっとあなたの日常はもっと身軽に、心穏やかになるはずです。