完璧主義を手放す時間管理術 忙しい毎日で「これでOK」を見つける優先順位ワーク
忙しい毎日、完璧主義があなたから時間を奪っていませんか
仕事に家事に育児にと、毎日時間に追われながら、ついついすべてを完璧にこなそうとして疲れてしまう。そんな自分に、これでいいのかな、と自己嫌悪に陥ってしまう。もしかすると、あなたはそんな状況の中にいるかもしれません。
与えられた時間の中で、できる限りのことをしようと頑張る姿勢は素晴らしいことです。しかし、完璧を求めすぎるあまり、かえって時間がかかったり、終わらせられずにストレスになったり、疲れて動けなくなったりすることはありませんか。
完璧主義は、時に私たちの貴重な時間を奪ってしまう側面があります。必要以上に時間をかけてしまったり、「完璧にできないなら、やらない方がましだ」と最初の一歩が踏み出せなくなったりすることもあるかもしれません。
この状態から抜け出し、忙しい毎日の中で心穏やかに過ごすためには、「完璧であること」ではなく、「これでOK」と思える基準を見つけ、限られた時間を上手に使う工夫が必要です。ここでは、完璧主義を手放し、優先順位をつけて「これでOK」を見つけるための具体的なワークをご紹介します。
なぜ完璧主義は時間を奪うのか
完璧主義の傾向があると、以下のような理由で時間を奪われやすくなります。
- 過剰な準備や情報収集: 始める前にあらゆる可能性を考え、完璧な状態で取り掛かろうとするため、準備に時間がかかりすぎます。
- 「やり直し」や「手直し」の繰り返し: 一度終わったことでも、「もっとうまくできたはず」と何度も修正を重ねてしまい、終わりの基準が曖昧になります。
- 優先順位付けの難しさ: すべてを完璧にやらなければならないと感じるため、何から手を付けてよいか分からなくなり、結局何も進まないことがあります。
しかし、仕事も家事も育児も、私たちの日常は予期せぬことの連続です。限られた時間の中で、すべてに100%の力を注ぐのは現実的ではありません。大切なのは、どこに力を注ぎ、どこで「これでOK」とするかを見極めることです。
ワーク1:「やることリスト」を「これでOKリスト」に変える
日々のタスク管理にTo Doリストを使っている方は多いと思います。このリストを、少しだけ書き換えてみましょう。
方法:
- 今日やるべきこと、今週やるべきことなどをリストアップします。
- リストアップしたそれぞれのタスクについて、「完璧な状態」ではなく、「完了とみなす最低限の『これでOK』な状態」を具体的に書き添えます。
例:
- 夕食作り
- 完璧:バランスの取れた献立、彩り豊か、手作りドレッシング、テーブルコーディネートまで
- これでOK:主食+汁物+何か一品(市販品でもOK)
- 子どものプリントに目を通す
- 完璧:内容を隅々まで理解し、重要な点はすべてメモ、関係書類も整理
- これでOK:目を通して返信が必要なものだけ把握し、必要なものだけ保管
- 部屋の片付け
- 完璧:すべてのものを元の場所に、床には何も置かない状態
- これでOK:見える場所にあるものだけを片付け、床の大きなものだけをどかす
効果:
- タスク完了のハードルが下がり、「完璧にやらなくては」というプレッシャーが軽減されます。
- 「いつまでも終わらない」状態を防ぎ、達成感を得やすくなります。
- どこまでやれば良いかの基準が明確になるため、区切りをつけやすくなります。
実践のポイント:
まずは、小さなタスクや、あなたが特に「完璧にしないと」と思いやすいタスクで試してみてください。「これでOK」の基準は、「誰かに見られても恥ずかしくないレベル」ではなく、「今日の自分自身が、これだけできればまあ大丈夫だと思えるレベル」に設定することが大切です。
ワーク2:優先順位を「重要度×これでOK度」で決める
やるべきことがたくさんある時、どこから手をつけるか迷うことはありませんか。重要度と緊急度で優先順位をつける方法はよく知られていますが、ここに「これでOK度」の視点を加えてみましょう。
方法:
- 今日(または今週)やるべきタスクをリストアップします。
- それぞれのタスクについて、以下の2つの観点から評価します。
- 重要度: それをやる必要がある度合い(高・中・低)
- これでOK度: どこまで手を抜けるか、完璧でなくて良いか(完璧必須・まあまあ・これでOK)
- 以下の優先順位を目安に、取り掛かる順番を決めます。
- 最優先: 重要度「高」かつ「完璧必須」のタスク
- 次に優先: 重要度「高」かつ「まあまあ」または「これでOK」のタスク
- その次に: 重要度「中」のタスク(「これでOK度」が高いものから優先)
- 時間があれば: 重要度「低」のタスク(「これでOK」でサッと済ませる)
例:
- 明日の会議資料作成(重要度:高、これでOK度:完璧必須)→ 最優先
- 子どもの保育園準備(重要度:高、これでOK度:これでOK - 最低限忘れ物がないように)→ 次に優先、サッと済ませる
- 夕食の献立を考える(重要度:中、これでOK度:これでOK - 簡単に済ませる)→ 時間があれば、またはスキマ時間で
- SNSのチェック(重要度:低、これでOK度:これでOK - 見なくても良い)→ 後回し
効果:
- 本当に重要なタスクに集中しやすくなり、限られた時間を有効に使えます。
- すべてを完璧にこなそうとするプレッシャーから解放され、心理的な負担が減ります。
- 「これでOK」なタスクは、後回しにせずサッと終わらせる習慣がつき、タスクが滞りにくくなります。
実践のポイント:
最初からすべてのタスクに厳密に適用しようとせず、まずは数個のタスクで試してみましょう。判断に迷ったら、「最もシンプルに、『これでOK』にするにはどうすれば良いか?」と自分自身に問いかけてみてください。完璧でなくても、完了させることに意味があるタスクを見極める練習です。
ワーク3:「スキマ時間」で「これでOK」を積み重ねる
仕事や家事、育児をしていると、まとまった時間を確保するのは難しいものです。完璧主義の傾向があると、「どうせ短時間では何も完璧にできないから」と、スキマ時間を有効に使えないことがあります。
しかし、完璧を目指さない「これでOK」な状態であれば、数分でもできることはたくさんあります。
方法:
- 5分、10分といった短いスキマ時間でできる「これでOK」なタスクをリストアップしておきます。これは、ワーク1で決めた「これでOK」リストの中から、さらに細分化できるタスクを選ぶと良いでしょう。
- スキマ時間ができたら、すぐにこのリストを見て、できるタスクを一つ選び、タイマーをセットして集中して行います。
- 時間が来たら、たとえ終わっていなくても「ここまでできた」と完了とみなします。
例:
- キッチンタイマーを5分にセットし、シンクの洗い物だけをする。
- 子どもが絵本を見ている間に、10分だけ今日の献立を考える。
- 電車での移動中に、5分だけメールの返信を作成する(送るのは後でOK)。
- 洗濯機が回っている間に、3分だけ床に落ちているものを拾う。
効果:
- 「完璧に終わらせる時間がないから」と何もできない状態を防ぎ、一歩でも前に進めます。
- 短い時間でも「これでOK」な完了を積み重ねることで、達成感や自己肯定感を得られます。
- 「少しの時間でもやればできる」という感覚が身につき、完璧主義を緩める自信につながります。
実践のポイント:
「完璧に終わらせる」ことを目指さないのがポイントです。たとえ途中で終わっても、「今日はここまでできた」と自分にOKを出しましょう。この積み重ねが、全体のタスクを少しずつでも前に進める力になります。リストは、冷蔵庫やデスクなど、よく目につく場所に貼っておくと、スキマ時間を有効活用しやすくなります。
実践する上でのヒントと心構え
「これでOK」を目指すワークを実践する上で、覚えておいていただきたいことがあります。
- 「これでOK」を完璧にやろうとしない: 「これでOK」の基準設定が難しかったり、計画通りに進まなかったりすることもあるでしょう。そんな時も、「まあ、今日はこんなものかな」と自分を許してあげてください。完璧主義を手放すプロセスも、完璧である必要はありません。
- 「できたこと」に目を向ける: 完璧にできなかった点に注目するのではなく、ワークを通じて「こんな小さなことでもできた」「ここまで進められた」という「できたこと」に意識的に目を向けてみてください。
- 自分一人で抱え込まない: 家族やパートナー、友人、職場の同僚など、頼れる人がいれば、遠慮なく助けを求めてみるのも「これでOK」な選択です。すべてを自分で完璧にこなそうとする必要はありません。
「これでOK」は手抜きではない、自分を大切にする時間管理
完璧主義を手放し、「これでOK」な基準で時間を使うことは、決して手抜きや諦めではありません。それは、限られたエネルギーと時間を、本当に大切なことや、自分自身の心穏やかな状態のために上手に配分する賢い方法です。
すべてを完璧にこなそうとして疲れ果て、大切な人との時間や自分自身の休息時間がなくなってしまうより、「これでOK」を見つけて心にゆとりを持たせる方が、結果として日々の満足度や幸福感は高まるのではないでしょうか。
今日のあなたは、忙しい毎日の中で、ここまでこの記事を読んでくださいました。それだけでも素晴らしいことです。今日のあなた自身に、「よく頑張ったね、これでOKだよ」と労いの言葉をかけてあげてください。完璧なあなたではなく、「これでOK」なあなた自身を、どうか大切にしてください。