計画通りにいかなくても落ち込まない。完璧主義さんが身につける「リカバリー力」ワーク
完璧主義なあなたは、仕事でも家事でも育児でも、「こうしよう」と決めた通りに進めたい、一度決めたことは最後までやり遂げたい、という強い思いを持っているかもしれません。毎日忙しい中で、計画通りに進めることは、きっと安心感を与えてくれる大切な指標なのでしょう。
ところが、私たちの日常は、なかなか計画通りにはいかないものです。 子どもが急に熱を出したり、仕事で予期せぬトラブルが発生したり、通勤電車が遅れたり。そんな予期せぬ出来事が一つ起きるだけで、朝立てた綿密な計画はあっけなく崩れてしまいます。
計画通りにいかなかった時、「どうしてこうなったんだろう」「自分の段取りが悪かったのかもしれない」と自分を責めたり、全てが台無しになったように感じて、落ち込んでしまうことはありませんか。完璧を目指す人ほど、計画が崩れた時のリカバリー(立て直し)が苦手で、ゼロか100かで考えてしまいがちです。
この記事では、完璧主義を手放し、計画通りにいかない日も心穏やかに過ごすための「リカバリー力」を身につける具体的なワークをご紹介します。予期せぬ出来事にもしなやかに対応できるようになり、「これでOK」と自分を認められるヒントを見つけていきましょう。
なぜ計画通りにいかないと辛いのか? 完璧主義とリカバリーの苦手意識
完璧主義の人が、計画通りにいかない状況で落ち込みやすいのは、いくつかの理由が考えられます。
- 「コントロールしたい」欲求: 計画は、未来を予測し、コントロールしようとする行為です。計画通りに進まないことは、自分が状況をコントロールできていないと感じさせ、不安や無力感を招きます。
- 「完璧な状態」への固執: 一度立てた計画は「完璧な状態」であり、そこから外れることは「不完全な状態」だと捉えがちです。不完全な状態を許容できないため、計画の修正や変更をネガティブに感じてしまいます。
- 「失敗」と捉えてしまう: 計画通りにいかないことを、自分の能力不足や段取りの失敗だと結びつけてしまうことがあります。これは自己肯定感の低下に繋がります。
このように、計画通りにいかないことに対する完璧主義的な考え方が、リカバリーへの苦手意識を生み出してしまうのです。しかし、日常には予測不能な要素がたくさんあります。計画通りにいかないこと自体は、あなたのせいではないことがほとんどです。大切なのは、そこで立ち止まらず、どのように柔軟に対応していくか、という視点を持つことです。
計画通りにいかない日も「これでOK」にするリカバリーワーク
それでは、計画通りにいかない状況で、自分を責めずにうまく「立て直す」ための具体的なワークを試してみましょう。
ワーク1:計画を「ガイドライン」と定義し直す
立てた計画は、あくまで「理想的な流れ」や「目指したい方向性」を示すものであり、絶対的なルールではない、と捉え直してみましょう。
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実践方法:
- 手帳やタスクリストに計画を書くとき、タイトルの横などに「これはガイドラインです」「変更OK」といった言葉を書き添えてみましょう。
- 一日の始まりに「今日の計画はあくまで目安。何があっても大丈夫」と心の中で唱えてみましょう。
- 予期せぬ出来事が起きて計画が崩れたら、「よし、ここからはガイドライン変更の時間だ」と、ゲームのように少し視点を変えてみましょう。
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効果: 計画に対する心の固執が和らぎます。計画通りに進まなくても「想定内」と思えるようになり、柔軟に対応する心の準備ができます。
ワーク2:リカバリーの「最低ライン」を設定する
計画通りにいかなくなった時、「全てを完璧に立て直さなければ」と焦る必要はありません。「これだけは押さえておこう」という最低限のラインを設定することで、無理なく立て直しを図れます。
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実践方法:
- 今日の計画全体が崩れそうになったら、まず「今日、これだけは絶対に外せないこと」を1〜2つピックアップしてみましょう。
- 例えば、夕食作りが難しくなりそうなら、「手作り」にこだわらず「家族がお腹を満たせること」を最低ラインとし、お惣菜や外食も選択肢に入れる、といったように、最終的な目的を見失わずに基準をゆるめます。
- 仕事で納期が厳しくなりそうなら、全てのタスクを完璧に終えるのではなく、「報告だけは済ませる」「明日への引き継ぎだけは準備する」など、次のアクションに繋がる最低限の行動を決めます。
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効果: 全てを完璧にやり直そうとするプレッシャーから解放されます。「ゼロか100か」ではなく、「せめてこれだけは」という視点を持つことで、小さな「できた」を積み重ねやすくなります。
ワーク3:リカバリーできた自分に「OK」を出す
計画通りにいかなかった状況で、何かしらの対応をした自分自身をしっかりと認め、労う習慣を持ちましょう。リカバリーできた「結果」だけでなく、リカバリーしようとした「行動」や「努力」に焦点を当てることが大切です。
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実践方法:
- 計画が崩れた後、何とか乗り切った一日やタスクの終わりに、「今日は予期せぬことがあったけど、よく対応できたね」「大変だったけど、これで十分OKだよ」と自分自身に優しい言葉をかけてみましょう。
- 小さなことでも構いません。予定していた洗濯ができなかった代わりに、代わりに部屋の片付けを少しだけ進めた、など、計画外でやったことでも「できたこと」として認めます。
- 寝る前に、今日リカバリーを試みた場面や、少しでも柔軟に対応できた出来事を思い出し、「今日の自分、よくやった」と心の中で拍手を送りましょう。
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効果: 失敗した部分に目を向けるのではなく、困難な状況に対応できた自分の力に気づけます。自分を責める気持ちが和らぎ、自己肯定感を育むことができます。リカバリーに対するポジティブなイメージが生まれ、「次も大丈夫」という自信に繋がります。
ワーク4:完璧でない状況に「慣れる」練習
計画通りにいかないことへの不安を軽減するためには、完璧でない状況に少しずつ慣れていくことも有効です。
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実践方法:
- 日常の些細なことで、あえて完璧を目指さない状況を意識的に作ってみましょう。例えば、いつもならきっちり整える場所を、あえて少しだけ散らかったままにしてみる、洗い物を一つだけシンクに残しておく、など。
- その時の自分の感情や、「完璧でないこと」が実際に何かに大きな支障をきたすのか、観察してみましょう。意外と何も困らないことに気づくかもしれません。
- この練習は、「完璧でなくても大丈夫」ということを体感するために行います。無理のない範囲で、ゲーム感覚で試してみてください。
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効果: 不完全な状態への抵抗感が薄まります。「少しくらい計画が崩れても大丈夫」という感覚が身につき、予期せぬ事態が起きても過剰に慌てることが減ります。
ワークを続けるためのヒント
これらのワークは、すぐに完璧にできるようになるものではありません。完璧主義を手放す旅は、一歩ずつ進むものです。
- 「完璧にやらなきゃ」を手放す: これらのワークも、「完璧にマスターしなきゃ」と思わないことが大切です。まずは「今日はワーク1だけ試してみようかな」といった気軽な気持ちで始めてみてください。
- 小さな変化を喜ぶ: たとえ少しでも、「前よりリカバリーできたかも」「今日は自分を責めずに済んだな」といった小さな変化に気づき、自分を褒めてあげましょう。
- 自分に優しくなる練習: 計画通りにいかなくて落ち込んでしまった自分に気づいたら、「あ、今自分を責めているな」と気づくだけでも素晴らしい一歩です。そんな自分に「疲れたね」「大丈夫だよ」と優しく声をかけてあげましょう。
完璧主義を手放し、しなやかな「リカバリー力」で日常を楽しむ
計画通りにいかないこと、予期せぬ出来事が起こることは、避けられない日常の一部です。そこで自分を責めたり、全てを諦めてしまうのではなく、しなやかに立て直していく「リカバリー力」は、完璧さとはまた違った、あなたの素晴らしい力になります。
「リカバリー力」を身につけることは、「不完全な自分を許す」ことでもあります。計画通りにいかなかった自分も、「これでOK」。予期せぬことにも対応しようと頑張った自分も、「これでOK」。
完璧な計画を立てること以上に、目の前で起きている現実を受け入れ、その中で最善を尽くそうとするあなたの姿こそが、十分に素晴らしく、「これでOK」なのです。
この記事でご紹介したワークが、あなたが計画通りにいかない日も、自分を責めずに心穏やかに過ごすための一助となれば幸いです。肩の力を抜いて、流動的な日常を少しずつ楽しんでいきましょう。