準備不足でも「これでOK」と行動に移すための3つのワーク
完璧主義の傾向があると、「始める前に完璧な準備をしておかなければ」と考えてしまい、なかなか行動に移せないことはありませんでしょうか。
仕事の資料作りも、家事も、育児関連の準備も、「もっとちゃんと調べてから」「あれもこれも揃えてから」と考えているうちに時間が過ぎてしまったり、結局「やっぱり無理だ」と諦めてしまったり。
限られた時間の中で、仕事も家事も育児もこなさなければならない日々に、「完璧な準備ができない自分はダメだ」と自己嫌悪に陥ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、多くのタスクを抱える私たちにとって、すべてのことに対して完璧な準備を行うことは現実的ではありません。むしろ、完璧な準備を目指すことが、行動を遅らせ、心身を疲弊させてしまう原因になることもあります。
ここでは、「完璧な準備」を手放し、「これでOK」と行動に移すための具体的なワークを3つご紹介します。忙しい毎日の中でも、無理なく試せる小さな一歩となるでしょう。
完璧な準備を手放し行動に移すための3つのワーク
なぜ「完璧な準備」を手放すことが大切なのでしょうか。それは、準備の質ではなく、行動に移すことそのものが、物事を前に進める最も確実な方法だからです。そして、多くの場合、必要な準備は行動しながらでも間に合います。
完璧な準備を手放し、「これでOK」と行動を開始するための具体的なワークを試してみましょう。
ワーク1:とにかく「最初の3分」だけやってみるワーク
「よし、これをやろう」と思ったものの、準備に手間取ったり、どこから手をつけて良いか分からず立ち止まってしまうことはありませんか。そんなときは、「完璧な準備」や「全体の流れ」は一旦置いておき、「最初の3分だけ、とりあえず行動してみる」ことを試してみてください。
-
実践方法:
- 取り組みたいタスクを決める。
- タイマーを3分にセットする。
- 完璧な準備は考えず、「タスクの最初の部分」を3分間だけ行う。
- 例:メールの返信なら、とりあえずPCを開いてメール画面を表示する。洗濯物なら、まず洗濯かごの蓋を開ける。企画書作成なら、とりあえずタイトルと名前を入力する。
- 3分経ったら、そこで中断しても、そのまま続けても構いません。
-
効果: 「最初の3分」という短い時間なら、「完璧な準備が必要」というハードルが下がり、行動への抵抗感が和らぎます。一度行動を開始すると、そのまま流れでタスクを進められることも多いです。準備に時間をかけるよりも、まず小さく始めることのパワフルさを体感できます。
-
実践のポイント: 「たった3分で何になるの?」と思わないでください。重要なのは「準備してから」ではなく「まず始める」という感覚を掴むことです。3分で終わらなかったとしても、行動できた自分を認めましょう。
ワーク2:「ミニマム・スタートライン」設定ワーク
完璧主義な方は、「ここまで準備しないと始められない」という基準が高くなりがちです。しかし、その「準備が整った状態」は、実は行動を開始するために必須ではないかもしれません。そこで、「これだけあれば、とりあえず始められる」という「最低限のスタートライン」を意図的に設定してみましょう。
-
実践方法:
- これから取り組もうとしているタスクを一つ挙げる。
- そのタスクを「始めるため」に、最低限これだけあればOKというものを3つ書き出す。
- 例:夕食の準備 → ①主菜の材料、②ご飯、③調味料(最低限)。子どもの発表会の準備 → ①日時確認、②場所確認、③持ち物リスト(最低限)。新しい仕事のタスク → ①担当者確認、②期日確認、③参照資料(最低限)。
- リストアップした「ミニマム・スタートライン」が揃ったら、完璧でなくてもよしとして、行動を開始する。
-
効果: 完璧な準備リストを作るのではなく、最低限のリストを作ることで、準備にかける時間や心の負担を減らすことができます。「これだけあれば始められる」という具体的な基準を持つことで、行動開始への見通しが立ちやすくなります。
-
実践のポイント: このワークの鍵は、「完璧」を目指さないことです。「本当に最低限?」と不安になっても、まずは決めたラインで始めてみてください。足りないものは後から補充すれば良い、という柔軟な考え方を取り入れてみましょう。
ワーク3:準備のための「考えすぎ」を手放すワーク
頭の中で準備のシミュレーションばかりしてしまい、行動に移せないことはありませんか。これは、準備そのものに時間を使っているのではなく、準備について「考えすぎている」状態です。この「考えすぎ」を手放し、意識を行動に移すワークです。
-
実践方法:
- 何か行動を始めようと思った時に、頭の中で「あれもこれも準備しなきゃ」「こういう場合はどうしよう」と「考えすぎているな」と気づく。
- 気づいたら、「今、私は準備について考えすぎているな」と心の中でつぶやくか、メモに書き出す。(客観視する)
- そして、「考えるのはここまで」「今できる最初の行動は何?」と自分に問いかけ、具体的な行動(ワーク1の「最初の3分」でできることなど)に意識を切り替える。
- 例:明日の準備について考えすぎて眠れない → 「今、私は明日の準備について考えすぎているな。寝る前に考えたって仕方ない」と認識し、「明日起きたらまずやることリストを一つだけ書こう」と具体的な行動(リストアップ)に意識を切り替える。
- 考えすぎている時間を減らし、その分を行動に充てるように意識する。
-
効果: 準備のための「考えすぎ」を客観視することで、その思考から距離を置くことができます。頭の中で準備を完璧にしようとするエネルギーを、実際の行動に振り向ける練習になります。
-
実践のポイント: 考えすぎている自分に気づくことが第一歩です。気づいた自分を責める必要はありません。「あ、また考えてるな」とフラットに受け止め、そっと行動に意識を向け直すことを繰り返しましょう。
完璧な準備を手放すことで得られるもの
完璧な準備を手放し、「これでOK」と行動に移す練習を重ねることで、以下のような変化を感じられるはずです。
- 行動のハードルが下がる: 始めることへの抵抗感が減り、タスクを先延ばしにすることが少なくなります。
- 時間の使い方が変わる: 準備に費やしていた時間や、「考えすぎ」ていた時間を、実際の行動や他の大切なことに使えるようになります。
- 心のゆとりが生まれる: 「完璧に準備しなければ」というプレッシャーから解放され、心が軽くなります。
- 自己肯定感が育まれる: 完璧でなくても行動できた自分、物事を前に進められた自分を認めることができるようになります。
まとめ
完璧主義の傾向から「準備」に時間をかけすぎたり、考えすぎて行動に移せなくなったりすることは、決して特別なことではありません。特に忙しい日々を送る中で、すべてを完璧にこなそうとすればするほど、心身は疲弊してしまいます。
ご紹介した「最初の3分だけやってみる」「ミニマム・スタートラインを設定する」「準備のための考えすぎを手放す」といったワークは、どれもすぐに日常に取り入れられる小さな習慣です。
完璧な準備ができなくても、行動に移せた自分を「これでOK」と認め、小さな一歩を積み重ねていきましょう。そうすることで、行動へのハードルが下がり、時間にも心にも少しずつゆとりが生まれていくのを感じられるはずです。
自分を追い詰める「完璧な準備」のプレッシャーを手放し、行動できる自分、そして完璧でなくても「これでOK」と自分を労われる自分を目指していきましょう。