これでOKワークショップ

完璧主義が時間を奪う？ 短時間で「これでOK」を作る３つのワーク

時間がないのに「完璧」を目指してしまうあなたへ

日々の生活で、仕事、家事、育児と、やることが山積みの毎日を送られていることと思います。限られた時間の中で、つい「もっとこうあるべき」「完璧にやらなければ」と考えてしまい、時間に追われて焦りを感じたり、すべてを終えられない自分を責めてしまったりすることはないでしょうか。

完璧主義は、時に私たちを前に進める原動力にもなります。しかし、時間や状況が許さない中で完璧を目指し続けることは、大きな負担となり、かえってタスクの完了を遅らせたり、心の余裕を失わせたりすることも少なくありません。

もし、あなたが「時間がないのに、つい完璧を目指して疲れてしまう」と感じているなら、それはあなたが決して一人ではない証拠です。多くの方が同じように感じています。

この記事では、そんなあなたが時間と心の余裕を取り戻し、日々のタスクを「これでOK」と思えるようになるための、具体的な思考法と行動ワークをご紹介します。どれも忙しい日常の中で無理なく試せる、小さな一歩となるはずです。

なぜ完璧主義は時間がない状況で苦しくなるのか

完璧主義の人は、一つのタスクに時間をかけすぎる傾向があります。例えば、メールの文章を何度も推敲したり、部屋の掃除を隅々まで徹底しようとしたり。これは、完成度へのこだわりがあるためですが、時間がない状況では、一つのタスクに時間をかけすぎることが他のタスクを圧迫し、結果として何もかもが中途半端になってしまうというジレンマを生み出します。

また、「完璧にできないならやらない方がましだ」と考えてしまい、着手自体が遅れたり、途中で投げ出してしまったりすることもあります。これは、「オール・オア・ナッシング（全か無か）」という思考パターンの一つです。

短時間で「これでOK」を作る３つのワーク

時間がない中でも完璧主義を手放し、タスクを完了させ、自分を労わるための具体的なワークを３つご紹介します。

ワーク１：タスクの「完了レベル」を意図的に下げる

完璧主義の人は、「完了」の基準が非常に高い傾向があります。このワークでは、その基準を意識的に下げてみます。

• 方法:

  1. 取り組むタスクを決めます。
  2. そのタスクの「完璧な完了」とはどんな状態か、具体的に書き出してみます（例: 部屋の掃除なら「床にゴミ一つなく、全ての物が定位置にあり、窓もピカピカ」）。
  3. 次に、「時間がない中で、最低限これだけできていればOK」という「これでOK」レベルを具体的に設定します（例:「床の目立つゴミだけ取る」「テーブルの上を片付けるだけ」）。
  4. 実際にタスクに取り組む際は、完璧を目指すのではなく、設定した「これでOK」レベルの完了を目指します。
  5. 設定したレベルまで完了したら、そこで一旦タスクを終え、「できた」と自分を認めます。

• 効果: 完璧を追求するプレッシャーが軽減され、タスクへの着手が容易になります。「少しでもやれば終わる」という感覚が得られやすくなります。また、設定したレベルで区切りをつける練習になります。

• 実践のポイント: 最初は非常に簡単なタスクで試してみてください。理想と現実のギャップに気づきやすくなり、基準を下げることへの抵抗感も和らぎます。家事なら「今日の夕食後の洗い物は、シンクに入れるまででOK」のように、日常の小さなタスクで練習できます。

ワーク２：タイムボックスで「あえて時間を区切る」

タイムボックスとは、特定のタスクにかける時間を事前に決め、その時間内での完了を目指す時間管理テクニックです。完璧主義を「時間無制限の追求」と捉えるなら、このワークはそれにブレーキをかける訓練になります。

• 方法:

  1. 取り組むタスクと、それにかける時間を決めます（例: メール返信に15分、子供の連絡帳チェックに5分、明日の準備に20分）。
  2. タイマーをセットし、時間内にタスクを終わらせることを目指します。
  3. 時間になったら、たとえタスクが完璧に終わっていなくても、そこで作業を中断します。
  4. 中断した時点で「ここまでできた」を認識し、「時間内にできる範囲で、これでOK」と判断します。必要であれば、続きは別のタイムボックスを設けて行いますが、まずは区切る練習をします。

• 効果: 終わりが見えないタスクへの不安が減り、集中力が高まります。時間内にできることの限界を知ることで、現実的なタスクの見積もりができるようになります。また、「時間内にできるだけやった」という達成感を得やすくなります。

• 実践のポイント: 最初は短めの時間（5分、10分）から始め、すぐに終わるタスクで試すと成功体験を積みやすいです。タイマーの活用は必須ではありませんが、視覚的に時間の流れを意識できるためおすすめです。仕事のメールチェックや、寝る前の片付けなど、日常的な短いタスクに応用できます。

ワーク３：「スキマ時間OK」タスクリストを作る

まとまった時間がないからとタスクを先延ばしにしていませんか？ 完璧主義の人は、「やるならまとめて完璧に」と考えがちですが、スキマ時間を活用することで小さな完了を積み重ねることができます。

• 方法:

  1. 普段のタスクの中から、「5分あればできること」「10分あればできること」をリストアップします（例: 洗面台を拭く、保育園の連絡事項を確認する、献立を一つ決める、簡単なメールを1件返信する、カバンの中身を整理する）。
  2. 通勤時間、待ち時間、子供が短時間一人で遊んでいる時間など、普段発生する「スキマ時間」を意識します。
  3. スキマ時間ができたら、リストの中からその時間でできるタスクを選んで実行します。
  4. 実行したら、「スキマ時間で、これができた。これでOK」と自分を認めます。

• 効果: 短い時間でもタスクを進められるという自信がつきます。「何もできなかった」という自己嫌悪を防ぎ、「できたこと」を積み重ねることで自己肯定感が高まります。タスク全体の負担軽減にも繋がります。

• 実践のポイント: リストは目に付く場所に貼っておくか、スマホのメモ機能などを活用すると良いでしょう。完璧に全てをリストアップする必要はありません。思いついた時に気軽に追加していく形で大丈夫です。

ワークを実践する上での困難と継続のヒント

これらのワークを試す際、最初は「こんなんで本当に大丈夫かな」「もっとできたんじゃないか」という不安や、完璧にできない自分へのもどかしさを感じるかもしれません。それは自然なことです。

大切なのは、「完璧を目指さない練習をしている」と捉えることです。失敗しても大丈夫。完璧主義を手放す旅路は、一度にゴールできるものではありません。

• 小さな成功を記録する: 「今日の夕食後の片付けは15分で切り上げた」「メール返信をタイマー時間内に終わらせた」など、「これでOK」とできたことを書き出す習慣をつけると、達成感を感じやすくなります。
• 自分を責めない: もし完璧を目指してしまったり、ワークがうまくいかなかったりしても、「まあ、そんな日もあるか」と軽く受け流しましょう。自分に優しく語りかける練習をしてみてください。
• 目的を思い出す: なぜ完璧主義を手放したいのか。それは、時間に追われる日々から解放され、心の余裕を持ち、自分や大切な人との時間を大切にしたいからではないでしょうか。その目的を思い出せば、完璧を手放すことへの抵抗が和らぎます。

「これでOK」がもたらす心の余裕と自分を労わる時間

完璧主義を手放し、「これでOK」という基準を受け入れることは、決して手抜きや諦めではありません。それは、限られた時間の中で自分と向き合い、優先順位をつけ、現実的な範囲で最善を尽くし、そして何よりも「自分を労わる時間」を確保するための、賢明な選択です。

完璧を目指すエネルギーを、自分を労わる時間や、心穏やかに過ごすための時間に使ってみてください。完璧でなくても、毎日の生活は確かに回り、大切な人との関係も育まれていきます。

今日から、一つでも小さな「これでOKワーク」を試してみていただけたら嬉しいです。あなたの日常に、少しでも心の余裕と穏やかさが訪れることを願っています。