ToDoリストを「完璧にこなす」から「これでOK」に変える3つのワーク
終わらないToDoリストに疲れたら。完璧主義をゆるめるリストとの向き合い方
お仕事、家事、育児。毎日のタスクは尽きることがありません。少しでも効率よく、抜け漏れなくこなそうと、ToDoリストを作る習慣がある方も多いのではないでしょうか。
リストにすることで頭の中が整理され、やるべきことが明確になる。これは素晴らしい習慣です。しかし、もしそのToDoリストが、あなたを追い詰めるものになっているとしたら。リストの項目がなかなか減らず、増えていく一方のリストを見て自己嫌悪に陥ったり、完璧にこなせない自分を責めてしまったり。
ToDoリストは、本来あなたの毎日をサポートするためのものです。それが完璧主義と結びつくと、「リストはすべて完了しなければならない」「完璧にこなせない自分はダメだ」というプレッシャーを生み出し、かえってあなたを疲れさせてしまうことがあります。
この記事では、そんな「終わらないToDoリスト」に疲れてしまったあなたが、リストとの向き合い方を変え、完璧主義を手放すための具体的な3つのワークをご紹介します。すべてを完璧にこなすことから解放され、「これでOK」と自分を認めながら、心穏やかに日々を送るためのヒントとして、ぜひ読み進めてみてください。
なぜToDoリストが負担になるのでしょうか
完璧主義の傾向がある方は、ToDoリストを「すべて完了しなければならないノルマ」のように捉えがちです。リストに書かれた項目は、大小に関わらずすべて同じ重さに見えてしまい、一つでも残っていると「終わっていない」「不完全だ」と感じてしまいます。
特に、仕事や家事、育児など、様々な役割を担っていると、リストはあっという間に膨れ上がります。「あれもこれもやらなきゃ」という気持ちでリストを作成するのは良いのですが、キャパシティを超えた量を書き出してしまったり、一つ一つのタスクの完了基準を高く設定しすぎたりすると、すべてを完璧にこなすことは物理的に不可能になります。
そして、リストを完了できない自分を見て、「自分は能力がない」「もっと頑張らなければ」と自分を責めてしまう。これが、ToDoリストがあなたを疲弊させるサイクルです。リストはあなたを縛るものではありません。リストは、あなたの目標達成をサポートする「道具」として使うものです。その道具と、健康的につきあっていくためのワークを見ていきましょう。
ToDoリストを「完璧にこなす」から「これでOK」に変える3つのワーク
ここでは、完璧主義を手放し、ToDoリストを味方につけるための具体的な3つのワークを紹介します。
ワーク1:リストを「見える化」し、達成可能な「小さな一歩」に分解する
まずは、頭の中で漠然と考えている「やること」をすべてリストとして書き出してみましょう。紙でもスマホのメモアプリでも構いません。リストアップすることで、あなたが抱えているタスクの全体像が「見える化」されます。
次に、書き出したタスクの中で、完了までに時間や労力がかかりそうな大きなタスクを選び、それをさらに細かく「これならすぐできる」というレベルの小さなステップに分解してみましょう。
例えば、「夕食を準備する」というタスクを分解すると…
- 今日の献立を決める
- 冷蔵庫にあるものと足りないものをチェックする
- (買い物に行く日なら)買い物リストを作る
- 食材を洗う・切る
- 火を使って調理する
- 盛り付けをする
このように分解すると、「夕食準備」という大きなタスクも、「献立を決める」という数分で終わる小さな一歩から始めることができます。
完璧主義の人は、「タスクは完全に終わらせてからでないと達成ではない」と考えがちですが、このワークでは、分解した小さなステップ一つ一つを「完了」として捉えます。小さな「できた」を積み重ねることで、タスク全体のハードルが下がり、「何もできていない」という感覚から抜け出しやすくなります。忙しい合間でも、数分でできる小さなステップを完了させることで、達成感を得られるようになります。
ワーク2:「マスト」と「ベター」で優先順位に緩急をつける
完璧主義な方は、ToDoリストの項目すべてが同じくらい重要だと感じてしまいがちです。しかし、実際には、今日中に絶対に終わらせなければならないこと(マスト)と、できたら嬉しいけれど明日でも大丈夫なこと(ベター)があるはずです。
リストアップしたタスクを見ながら、「今日、これだけは絶対にやろう」というマスト項目を3つだけ選び、印をつけたり別のリストに書き出したりしてみましょう。
残りのタスクは、すべて「ベター」です。ベター項目は、マスト項目が終わった後や、時間に余裕ができた時に取り組めば良いものと割り切ります。「今日はベターのタスクには手をつけられなかった」としても、自分を責める必要はありません。マスト項目を達成できたなら、今日の「やるべきこと」はOKなのです。
完璧主義は、「すべてをこなす」ことに価値を見出しがちですが、このワークの目的は、「すべてをこなす」のではなく、「本当に重要なこと、最低限必要なことを確実に完了させる」ことに集中し、それ以外の項目は「完了できなくてもOK」と自分に許可を与える練習です。リスト全体を完璧に終わらせることから自由になり、心に余裕を持たせることができます。
ワーク3:「できたこと」を記録し、「やらないこと」リストも作る
「ToDoリストをすべて完了できなかった…」と落ち込みやすい方は、「完了できなかったこと」ばかりに目が行きがちです。そこで、視点を変えて「今日、何ができたか」を意識的に記録する習慣を取り入れてみましょう。
その日の終わりに、ToDoリストから完了した項目を別のノートやアプリに書き出す、「完了!」と大きく印をつけるなど、「できたことリスト」を作ります。ToDoリストに書いていない小さな家事(例:トイレ掃除、ポストの確認)や、育児での関わり(例:絵本を一冊読んだ、抱っこしてあげた)なども、「できたこと」として加えてみても良いでしょう。
「こんなにたくさんのことができたんだ」と「できたこと」に目を向けることで、自己肯定感が育まれます。
さらに、完璧主義で「あれもこれも」と手を出してしまいがちな傾向を和らげるために、「やらないことリスト」も同時に作成するのも有効です。これは、今日、または今週は「あえてやらないこと」を決めておくリストです。
例えば、「今日は手の込んだ料理は作らない」「子どもが起きている間はメールチェックしない」「今日は〇〇(苦手な家事)はやらない」など。
「やらないこと」を意図的に決めることで、抱え込みすぎを防ぎ、心と時間に余白を生み出すことができます。完了リストで「できたこと」を認め、「やらないことリスト」で「手放すこと」を許可する。この二つを組み合わせることで、ToDoリストに振り回されず、自分にとっての「これでOK」な一日を作りやすくなります。
ワークを続けるためのヒント
これらのワークを始めたばかりの頃は、つい「リストはすべて完了しなきゃ」「『マスト』以外も全部やろう」という完璧主義の癖が出てしまうかもしれません。
- リストは柔軟に見直しましょう: リストはあくまで「今日やることの目安」です。状況が変われば、リストの内容や優先順位が変わることも自然なことです。毎日、または一日の途中でリストを見直し、必要に応じて修正しても構いません。
- 完了できなかった項目があっても自分を責めない練習: リストが完璧に終わらない日があって当然です。「まあ、今日はこれだけできたからOK」「残りは明日やろう」と、自分に優しい言葉をかけてみましょう。完璧主義を手放すとは、完了できなかった自分を許す練習でもあります。
- 自分を労わる習慣を: リストをこなすことに必死になるだけでなく、一日の中で数分でも良いので、自分がリラックスできる時間や、好きなことをする時間を作りましょう。「頑張っている自分」を労わることで、心にゆとりが生まれ、リストともっと穏やかにつきあえるようになります。
ToDoリストはあなたを助ける道具です
ToDoリストは、あなたを監視したり、あなたを評価したりするためのものではありません。あなたの時間やエネルギーを、より効果的に使うための便利な道具です。
すべての項目を完璧にこなすことよりも、自分にとっての「これでOK」を見つけることの方が、あなたの心と体にとってずっと大切です。今日紹介したワークが、あなたがToDoリストとの新しい、そしてもっと優しい関係を築くための一助となれば幸いです。
「これでOK」と自分を認めながら、一つずつ、あなたのペースで取り組んでみてください。