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疲れた心に寄り添う。完璧主義からくる感情を受け入れるワーク

Tags: 完璧主義, 感情, ワーク, セルフケア, 自己肯定感, マインドフルネス

完璧を目指して頑張る中で、心が疲れていませんか

仕事も家事も育児も、すべてをきちんとこなそうと毎日頑張っている。周りの期待に応えたい、自分自身も納得できる自分でいたい。そんな気持ちで過ごす中で、知らず知らずのうちに心や体が疲れてしまうことはありませんか。

もし、あなたが * いつも時間に追われ、焦りや不安を感じやすい * 思い通りにならないことがあると、自分を責めて落ち込みやすい * 「もっと頑張らなければ」「まだまだ足りない」と感じてしまう * 休むことや、完璧でない自分を許すことが難しい

と感じているなら、それは完璧主義が引き起こす「しんどい感情」に囚われている状態かもしれません。

私たちは、完璧を目指すあまり、不安や焦り、自己嫌悪といったネガティブな感情を「感じてはいけないもの」として押し込めてしまいがちです。しかし、感情を無視したり抑えつけたりすることは、かえって心を疲れさせ、自己嫌悪のループから抜け出しにくくさせてしまうことがあります。

この記事では、完璧主義と深く結びついた感情に優しく気づき、受け入れるための具体的なワークをご紹介します。感情との付き合い方を変えることで、少しずつ心の荷を下ろし、心穏やかに日常を送るヒントを見つけていきましょう。

完璧主義が感情を抱え込ませやすい理由

なぜ、完璧主義な傾向があると、感情を抱え込みやすくなるのでしょうか。

完璧主義は、「完璧でなければ価値がない」「失敗は許されない」といった信念に基づいていることがあります。こうした信念があると、不安や恐れ、恥といったネガティブな感情を強く感じやすくなります。そして、それらの「しんどい感情」を感じないために、さらに「完璧にやらなければ」と自分を追い込んでしまう、という悪循環に陥ることがあります。

また、完璧を目指すことに必死になるあまり、自分が今どんな感情を感じているのかに気づく余裕がなくなってしまうこともあります。感情に気づかないまま、ただ漠然とした不快感や疲弊感だけが蓄積されていくのです。

感情は、私たちの内側で起きていることや、自分にとって何が大切かを知るための大切なサインです。そのサインを無視し続けることは、自分自身の心から目を背けることになってしまいます。

感情を受け入れるとは、どういうこと?

感情を受け入れる、と聞くと、「ネガティブな感情を肯定するの?」「辛い感情を我慢するの?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、ここでいう「感情を受け入れる」とは、そうではありません。

感情を受け入れるとは、

ということです。

感情は、私たちの意思とは関係なく自然に湧き上がり、そして時間とともに変化していくものです。雨が降っているときに、「なぜ雨が降るんだ!」と怒ったり、無理やり晴れにしようとしたりしても意味がないように、感情も「なんとかしよう」ともがくのではなく、「あ、今、雨(感情)が降っているな」とただ観察し、その存在を許してあげることが大切なのです。

自分の中にどんな感情が湧いてきても、それを否定せず「それで大丈夫」と許可を与える練習は、完璧主義を手放し、自分を優しく労わるための一歩になります。

日常で試せる、感情に寄り添うための具体的なワーク

それでは、忙しい毎日の中でも無理なく取り入れられる、感情に優しく寄り添うためのワークをいくつかご紹介します。すべてを完璧にやろうとする必要はありません。ピンとくるものから、一つ、二つ、試してみてください。

ワーク1:感情に「名前をつける」ワーク

方法: 今、自分の中にどんな感情があるかな?と意識を向けてみましょう。モヤモヤ、イライラ、不安、焦り、悲しみ、疲れ、解放感、ホッと一息...。どんな感情でも構いません。そして、その感情に心の中で、または静かに口に出して「あ、焦っているな」「今、なんだか落ち込んでいるな」「ちょっとイライラするな」のように、ただ名前をつけてみましょう

効果: 感情に名前をつけることで、感情と同化している状態から抜け出し、感情を客観視することができます。「私=焦り」ではなく、「焦りを感じている私」と、自分と感情の間に少し距離を置くことができるようになります。これにより、感情に振り回されにくくなります。

実践のポイント: * 家事の合間、電車での移動中、休憩時間など、短い時間でいつでもできます。 * 感情を良い・悪いで判断せず、ただ「ある」と認め、名前をつけるだけです。 * 最初は漠然としているかもしれませんが、続けていくうちに感情のニュアンスに気づきやすくなります。

ワーク2:呼吸とともに感情の「感覚」を感じるワーク

方法: もし可能なら、静かな場所で座ったり横になったりしますが、難しければ立ったままでも、歩きながらでも構いません。数回ゆっくりと呼吸をしてみましょう。そして、今感じている感情が、体のどこかにどのような感覚として現れているかに意識を向けてみます。胸がザワザワする、肩が重い、お腹がきゅっとする、手足が冷たい...。その体の感覚を、良い悪いの判断をせず、ただ呼吸とともに感じてみましょう。吸う息でその感覚に意識を向け、吐く息でそれが存在することを許す、というイメージです。

効果: 感情を「思考」として捉えるのではなく、「体感」として捉える練習になります。これにより、感情にまつわるグルグル思考から抜け出しやすくなります。また、自分の体と心がつながっていることを感じられます。

実践のポイント: * 数秒でも、数回呼吸をする間だけでも効果があります。 * 特に、頭の中で感情について考えすぎてしまうときにおすすめです。 * 感じにくい場合は、無理にする必要はありません。ただ「感じにくいな」と気づくだけでも十分です。

ワーク3:感情を抱える自分への「優しい言葉がけ」ワーク

方法: しんどい感情に気づいたとき、心の中で、または書き出す形で、その感情を抱えている自分に優しく言葉をかけてみましょう。「しんどいね」「疲れたね」「不安なんだね、大丈夫だよ」「頑張ってるね」といった、自分が言ってもらいたいと思うような、温かく寄り添う言葉を選んでください。あるいは、「悲しみを感じている私へ」「焦っている自分へ」のように、感情と自分を切り離して、宛名をつけて言葉を贈るのも良いでしょう。

効果: 完璧主義者は、往々にして自分自身に厳しい言葉をかけがちです。このワークは、自分への否定的な声ではなく、肯定的な、労わる声をかける練習になります。自己否定感を和らげ、自分に寄り添う「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」を育むことにつながります。

実践のポイント: * 大げさな言葉でなくて構いません。自分が本当にそう思える、素直な言葉を選びましょう。 * ネガティブな感情だけでなく、嬉しいや楽しいといった感情にも試せます。 * 最初は違和感があるかもしれませんが、続けていくうちに自分への優しさが自然に湧きやすくなります。

完璧にやろうとしないことが、一番大切

これらのワークは、「完璧に」こなすことを目指す必要は全くありません。むしろ、「今日は一つもできなかったな」「うまく感情を感じられなかったな」と思っても、それで大丈夫なのです。

完璧主義を手放すプロセスにおいて、「完璧にやろうとしない」こと自体が、最も重要な練習の一つです。

ワークを試してみて、もし「うまくできなかった」と感じたとしても、自分を責めないでください。「あ、今、自分を責めているな」と気づき、その感情に名前をつけたり、「うまくできなくても大丈夫だよ」と優しく言葉をかけたりすることこそが、ワークの実践になります。

毎日続ける必要もありません。疲れているときは、無理せず休みましょう。気づいたときに、心に余裕があるときに、小さな一歩として試してみることから始めてください。そして、少しでも感情に気づけたこと、自分に優しくなれたことに目を向け、小さな変化を見つけていくことを楽しんでみましょう。

感情は、敵ではなく自分を知るためのサイン

完璧主義を手放すことは、決していい加減になることではありません。それは、「完璧でなくても、自分は価値がある」と知り、自分を深く理解し、受け入れるプロセスです。

そして、感情は、そのプロセスにおいてあなたを助けてくれる、大切なサインなのです。不安や焦り、疲れといった「しんどい感情」も、「こうありたい」という願いや、「もっと自分を大切にしてほしい」という心の声を表しているのかもしれません。

感情を避けたり、抑えつけたりするのではなく、そこに優しく寄り添い、受け入れること。それは、自分自身に「どんなあなたでも大丈夫だよ」というメッセージを贈ることにつながります。

感情とともに生きることを選んだとき、あなたは完璧ではない自分を許し、「これでOK」と思える基準を、外側ではなく、あなた自身の内側に見つけることができるでしょう。そして、心穏やかな日常が、きっとあなたの元に訪れるはずです。